宇宙は明確な法則で事が運び、まあ人類の介在する余地はいまのところありません。なので、人類が見つけているできごととその法則通りことが運ぶのですが、「見つけている限り」なので予期せぬことも混ざるのがおもしろいところです。
ということで、予測が秒単位でできることから、どーなるかわからんことまで「素人でも手軽に観察または参加できる」宇宙に関わるあれこれを、サクっと紹介しちゃいます。話題も多いので夏休みバージョン。2021年7~8月の分をば。
なお、天文現象を一年分紹介している年鑑の類が、毎年刊行されています。紙もの出版が減るなかで頑張っておりますな。2021年分は、この連載の第196回でご紹介しておりますので、参考にしてくださいませー。
金星は西に、木星は東に
夏は、白い3つの1等星で作る「夏の大三角」がいつも主役なのですが、今年は東西横綱な2つの惑星にもってかれております。金星と木星でございます。ちなみに、明るさはこんな感じ。
- 金星:マイナス4.5等級 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
- 木星:マイナス2.5等級 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
(夏の大三角) - ベガ: 0.0等級 ☆☆☆☆
- アルタイル: 0.8等級 ☆☆
- デネブ: 1.3等級 ☆
これだけ差があると、間違えることはないですな。
なお、金星は夕方の西の空で、夜8時には見えなくなります。見頃は7時半ごろ。
一方で木星は、東の空。7月は9時すぎでないと見えないです。8月になると7時でも見えるようになります。
この夏、金星と木星の方向は真反対。競演は8月の夕方わずかな期間でございます。それでも両方とも見られるのはとてもゴージャスなんですよ。
土星もあるでよ
実は土星も見えています。東にある木星の右側です。明るさは…
- 木星:マイナス2.5等級 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
- 土星:0.4等級 ☆☆☆
という感じですな。
7月上旬では夜10時くらいだと、この木星と土星、夏の大三角が東の空にならびます。これはPCソフトのステラナビゲータによる配置図を掲載しておきましょう。
8月12-13日ごろ、ペルセウス座流星群が活動のピーク(極大)
流れ星がまとまって見られる流星群のなかでも、とりわけ流れ星の数が多いのが、ペルセウス座流星群です。ペルセウス座<から>流れ星が、飛び出すように見えるのでこの名前がついていますな。
ペルセウス座がわからなくても、観察には大きな不都合はありません。空のどこともなく、1~数分に1つは流れ星が見られるのは見物でございます。できれば、空が暗い高原などで見たいものですが、まあ都会のベランダからでも楽しめはします。
流れ星を見たことなーい! という人はぜひ、夜10時以降夜明けまでの間で1時間。空をぼんやり眺めてみてくださいませ!
流れ星の観察の仕方は、この連載の第136回をご参考に!
あけて8月14日は伝統的七夕
夏の大三角のベガとアルタイルが、織り姫と彦星でございます。7月7日よりも、昔の暦に従った七夕の方がみごろですな。今年は8月14日(旧暦の7月7日)でございます。
月面X、8月15日 20時30分ごろ(観察には双眼鏡か望遠鏡が必要)
月面の欠けぎわに、双眼鏡で見るとX字型が見えるという月面X。クレーターの縁と縁がかさなってそう見えるのですが、おもしろいこというものですな。毎月見えるのですが、今年は条件がよいのが多いです。13、14、15日となんらかあるでよってことで並べてみました。
ところで望遠鏡はなにがおすすめですか?
ここしばらく、eVscopeすげー!(連載 第205回) とかわめいておりまして、私も天文の人なので望遠鏡は持っていたりもするのです。
ちなみに普段使っているのはレンズの直径が5cmのもので、カメラの三脚にのせ、30倍くらいで使っています。
ただ、土星の環とか見ようとおもうと、しばしば業務用としても使われる、レンズの直径8cmの望遠鏡に微動装置つきのしっかりした経緯台のセットがおすすめですな。6万円くらいです。
あとこちらはやや柔ですがなどは、スマホのアプリで向けたい天体までガイドしてくれるというオモシロガジェットです。値段も4万円と無茶ではないです。
え? 無茶? そうですな。ちょっと試しに何万円はないですよねー。
であれば、おすすめは星の手帖社が売っている15倍の組み立て望遠鏡です。15倍だと土星の環はちょっと届かないですが、月のクレーターなどが気軽に見られます。よいのは、倍率が高すぎないので扱いが割と楽。書店でもアマゾンでも売ってる。値段が安い。税込みで2000円以下。
なお、くれぐれも「望遠鏡で太陽を見てはダメ!! 絶対」。強烈な太陽の熱で、目が一生治らないやけどを負います。最悪失明します。虫眼鏡で自分の目を焼くようなものですからね。気をつけてくださいませね。
夏の星を見る宿泊など
もう、新型コロナウイルス感染症次第なのでございますが。本来的にはよい時期です。県内の宿などで星を見せてくれるところもありますから、調べてみてはいかがでしょう。公開天文台協会というところでは、天文台つきのホテルも加入しているようです。ざっと見る限り、天文ファンにも評判がよいところが多いですよ。チェックしてみてくださいね。
個人的には長野の千畳敷ホテルに泊まり、近くまで移動して星を見たり、同じ長野の入笠山にも泊まったことがありますな。ほかには三重県のNEMU RESORTもよかったです。たき火カフェしながらホテルマンが星の話をしてくれます。
新型コロナウイルス感染症で不要不急の外出は控えてといわれたら、もう家で見るしかないですが、まあ計画してみてください。
ロケット・宇宙探査系
ロケット・宇宙探査系では、「SPACE FLIGHT NOW」ほかをのぞいてみますと
7月15日:ロシアのプロトンロケットが国際宇宙ステーションのナウカモジュール打ち上げ
先日も新型の太陽電池パネルをとりつけたところですが、なんだかんだいってアプデされますな国際宇宙ステーション。
7月30日:スターライナーのテストフライト
米国ボーイング社の有人宇宙船CST-100スターライナー のテストフライトです。公式の日本語ページがありますので、みてちょ。無人での最後のテストのはずです。うまくいくといいですなー。
未定ですがこのころ、インドが同国初の地球イメージング衛星「GISAT 1」を打ち上げる予定です。静止軌道から大型望遠鏡で地球の撮影するものです。何回か打ち上げ延期になっていましたがそろそろのようです。
また、インドは極軌道衛星「RISAT 1A」の打ち上げも予定しています。
インド宇宙研究機関のホームページはこちら
このほか、OneWebやSTARLinkなどの、多数の小型衛星を打ち上げる予定がありますし、国際宇宙ステーションへの補給機の打ち上げも予定されています。
ということで、夏も宇宙を楽しんで参りましょー。