地上で何が起ころうが、宇宙は変わりなく時を刻みます。いや、太古に人類はむしろ星空の動きを見て、時の刻みを発見したのでございました。

ということで、予測が秒単位でできることから、どーなるかわからんことまで「素人でも手軽に観察または参加できる」宇宙に関わるあれこれを、サクっと紹介しちゃいます。今回は2021年3~6月の分をば。

なお、天文現象を一年分紹介している年鑑の類が、毎年刊行されています。2021年分は、この連載の第196回にてご紹介しておりますので、参考にしてくださいませー。

3−4月:西の空に冬のゴージャスな星が見えております

いつも1-2月に紹介する冬の星たち。春でも、場所を西の空に変えつつ見えております。そして、星座の中を移動してきた火星がこの中に入り込み、花を添えます。特に3月21日には火星とアルデバランという赤い星が並びます。

西側が開けているところなら、宵の空に雄大なオリオン座が沈んでいく様子が見られます。その様子をアストロアーツ社のステラナビゲータというソフトで再現してみました。最新のスマホにはXperiaやiPhoneのように星空が写っちゃうモデルも増えてます。ぜひ撮影をお試しあれ。

  • オリオン座

    神奈川県の茅ヶ崎市役所からみた、沈むオリオン座、富士山に向かって沈んでいく

  • オリオン座

    富士山を前景に、スマホの広角レンズ(24ミリ相当)で30分間タイムラプス撮影して合成したらこんな感じになりますよ

小惑星ベスタが見ごろ

3月5日ごろ。小惑星として3番目に発見されたベスタがここ2年ほどで最も明るくなります。といってもその明るさは空がウーンと暗いところで双眼鏡なら確認できるというレベル。ただ、意外と見落としがちので、覚えのある天文ファンはチェックしてみてくださいませ。

4月6日と7日の朝4時ごろ、明け方の空に月と木星と土星が並びます

木星はかなーり明るいので結構目を引きます。ただ「早朝」ということをお忘れなく。

  • 月と木星と土星

    4月6日4時の東南東の空。月と木星と土星がならびます

4月20日の前は科学技術週間

各地の研究所などのオープンハウスがあるんですが……今年は感染症関係で難しいでしょうねえ。というか、あれ? 令和3年度になってないぞ(2月15日時点)。大丈夫か? まあ、学習コンテンツとか、毎年好評の科学ポスターの紹介もあるので、見て楽しいですけどねー。

ところで、今年の一家に1枚ポスターはなにですかね? 昨年は「南極」、その前は「日本列島7億年」でしたが。2021年の今年は……ウイルスとワクチンとかですかね。2017年は「細胞」でございましたが。いや、はやぶさ2も帰ってきたし、小惑星探査かしら。いつも本気のポスター、どんなテーマにせよ楽しみでございますが。さて。

ロケット・宇宙探査系

SPACE FLIGHT NOW」ほかをのぞいてみますと、3月中にブラジルの地球探査衛星「Amazônia 1」がインドのPSLVロケットで打ち上がりますな。アマゾン地域の環境などをリモートセンシングするのが目的のようですな。

3月下旬にはヨーロッパのエアバス社の地球観測衛星「Pléiades Neo 1」がVEGAロケットで打ち上げられます。ランドサット、SPOTなど、これまでもいくたの地球観測衛星が運用され、衛星写真を撮りまくってきたわけですが、どんどん高精細になっていくわけです。10年前に打ち上げられたPléiades(分解能1m)の後継のこのPléiades Neoシリーズだと分解能が30cmだそうです。4つの衛星が太陽同期軌道を回り、地球をくまなくしらべることになります。

4月9日にはロシアのソユーズMS-18で、国際宇宙ステーション(ISS)に米露の3名の宇宙飛行士が向かいます。また、4月20日以降には 日本の星出彰彦さん搭乗のスペースXのクルードラゴン(クルー2)が、ISSに向かいます。前回のクルー1では、日本の野口聡一さんら4名が搭乗していました。

5-6月:赤い月の皆既月食から白い満月への変化は見物

5月26日は皆既月食

5月26日の夜8時すぎ、満月なのに、欠けた状態でのぼります。夜8時9分~28分が皆既月食。赤い月が見られます。月食が完全に終わるのが9時53分です。ステラナビゲータで夜8時から30分毎の様子を再現してみました。赤い月が月食が終わると白い満月になっていきます。見物でございます。

  • 皆既月食

6月10日は、ヨーロッパなどで日食が見られる

月食の半月後あるいは半月前の新月には日食が起こることが多いのですが、6月10日にはヨーロッパなどで日食が見られます。アジアもロシアのあたりを中心にかなり見える地域があるのですが、日本では見えません。北極に近い地域では金環日食になります。見える範囲は、NASAのサイトにあるファイルを見ていただくのがよいかと。

星空は、北の空高く、北斗七星がよく見えます。火星は、ふたご座のあたりまで移動してきて「みつご座」状態になりますよ。またまたステラナビゲータで再現してみましょう。

  • 6月1日夜8時、郊外での空の様子

    6月1日夜8時、郊外での空の様子。西の空から頭の真上。地平線近くにふたご座と火星。頭の真上に北斗七星が確認できる

このほか、宇宙探査方面では、中国が5月~6月に火星探査機の天問1号の着陸機を着陸させます。すでに火星周回軌道にのせているところであり、着陸を成功させ、さらにローバーも走らせれば、アメリカ以外で初めての快挙となります。この連載の前回の記事も見てねー。

ということで、時々は宇宙に思いをはせ、楽しんでいただければ幸いでございます。