新年2021年となりました。今年も、どこでもサイエンスをご贔屓にねがいますー。

で、今回ですが、新年ということでカレンダーについてのお話しでございます。生活にチョイチョイ影響があるカレンダーは、天文などサイエンスとの関わりがあったりなかったりでございます。2021年は、2020年からオリンピックが延期になった影響で、カレンダー屋、手帳屋、プログラマ泣かせの変更が行われました。年も明けたところで、そんな話をふくめ、カレンダーと科学とモロモロのお話を少しさせていただきますねー。

カレンダーのベースはルールです。で、ルールってのは「人間が決める」法律などです。これ大前提ですので、ちょっと退屈ですが書いておきます。何かの時の参照用なので飛ばしていいですよー。

ここからルールの話

まず、カレンダーというと1年は365日で、閏年は366日。1年のスタートは1月1日、1週間は7日、小の月は30日で、大の月は31日、2月は28日か29日ってなもんですな。これはキリスト教圏など世界で広く使われているグレゴリオ暦に基づいています。

日本では明治5年の年末に突如、グレゴリオ暦を使うと決まりました。キリスト教でない国では非常に早い変更で、欧米に合わせようという感じですな。根拠は「「太政官布告]( https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=105DF0000000337 )」でございます。大河ドラマ「麒麟が来る」を見ている全国2000万人のみなさんは、改暦については天皇が決めてたってことご承知ですな。なので「太政官」布告だったのです。これで、それまで使っていた旧暦が使われなくなったのですが、ちな発表が11月9日で、しかも12月3日を翌年の1月1日にするっていう無茶が行われたので、当時のカレンダーを作っていた(なかば独占職業だった)人たちは不良在庫をかかえてどうしよもない事態に陥ったようです。裏には、旧暦にあった閏月(だいたい3年に1度13か月になる)で、給料1か月分はらいたくないというのと、なにより旧暦は小の月が29、大の月が30日で、新しい暦のほうが、おおむね月給を払う頻度が下がる(せこい減給)という考えがあったようです。ま、人間の考えることですなー。

さて次に土曜日、日曜日が休日という話です。仕事の休業日や職員の休みは、労働基準法などで定められているのですが、それは「頻度、回数」の問題です。それを土曜、日曜にするには役所がそうしているからですな。それに多くの会社は習っているわけですな。法律は昭和27年に作られた「行政機関の休日に関する法律」です。なお平成4年に土曜日も休日にすると改訂されています。私は昭和を知るロートルでございますが、いやでもしばらくは土曜も仕事で、平成10年くらいに完全に変わった感じですけどねー。

さらに、祝日と国民の休日も法律で決まっています。その名も「国民の祝日に関する法律」です。昭和23年つまり1948年といいますから70年も前に決まったものですな。ん? これアメリカの占領下じゃんね。で、いくたの変更が行われて、平成10年に成人式が1月第2月曜とするってな「国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律」(平成10年法律第141号)の制定があり、現在に至ります。最新の変更は体育の日がなくなってスポーツの日になったことですな。これは体育をスポーツに変えるという動きに沿ったもので、2020年開催予定だった東京オリンピックにまにあわせるためだったんですな。

ここからが少しずつ科学の話

うー、ルールの話が長くなりました。まあ、暦は基本決め事なので、そうなっちゃいます。

さて、ルールの中の祝日は毎年変わります。日付固定のものもありますが、移動祝日というのがありますな。そのため、ある年は秋にいわゆるシルバーウィークとかいう四連休が出現したりするわけです。

で、これはまあ政府が発表するのですが、実は発表そのものは政府直轄ではなく国の研究法人である国立天文台が行なっています。国立天文台! そう、ここに科学が入ってまいります。

ちなみに発表は毎年2月1日から一番近い平日に「暦要項」という形で行われます。もちろん、よく年の祝日などがここに発表されるのですな。基本、国の告知ペーパーの「官報」で発表されるのですが、まあネットで見られます。

なーんで国立天文台がやるかというと、そもそも暦を決めるのは天文台、古くは天皇の機関である陰陽寮(陰陽師の安倍晴明で有名なあれ、まあ昔の天文台と大学と国向けの占い所が合体したようなところ)が行なってきたという歴史があります。

旧暦は新月=1日でしたから、新月がいつかを計算するプロ=陰陽寮・天文台が担当していたのですな。これは海外でも同様です。1年というのは季節のひとめぐり、地球が太陽を一周する期間がベースです。太陽の観測をきちんとしていて、1年が360日くらいーーが、365.24219日ということがわかってきたという歴史でございます。現在的には春分の日と秋分の日を太陽の座標が0と180度になる日(春分日と秋分日)と法律で決めている関係でやはり天文台が所管なのでございますな。ちなみにこれは必要ではあるが現代天文学の主流ではないので、ここのポジションの募集は激レアなのですが、現在募集中(2021年2月1日締め切り)です。色々珍しいものを見る昨今です。

さて、令和3年つまり今年2021年の「暦要項」は、2020年2月3日に国立天文台から発表されました。この時、オリンピックは2020年に行われる予定でした。そのため、2020年の暦要項が、ご承知の通り新型コロナウィルス感染症のため、3月30日にはオリンピックの開催が1年延期となりました。そのため、オリンピック用に開会式予定の2021年7月に移動祝日を動かすというのは、この時点では通常ルールではありえない(もう2021年の祝日は暦要項で発表済み)ことでした。

で、まあ、そのままいくんかなー、と思っていたら、なんとなんと10月くらいからやっぱり祝日を7月に集めるという話がリークされはじめ、最終的には12月4日に正式発表となりました。いままで見たことがない「暦要項」に令和2年2月3日(令和2年12月4日改訂)という()付きの表記が載ることになりました。国立天文台の編集している、理系のバイブル(かな?)理科年表(丸善)も間に合っていません。オフィシャルサイトではこれが特別に掲載されていますが、これも超絶異例のことでございます。さて、7月、無事にオリンピックが開催できればこのドタバタも浮かばれるわけで、そう願いたいところですな。客観的には有効なワクチンと治療法が全世界に行き渡るのが大前提だと思うのですが、私は願うことしかできません。オリンピック開催のためと限らず、早くこの病気の終息を願わない人はいないですよね。

では、人間が決めたルールに基づく区切り目(太政官達)でスタートした2021年。良い年を願って。