【質問】携帯電話をトイレに落としてしまった、さあどうする!?
携帯電話をポケットに入れたままトイレに入ったり、棚に置いた荷物がひっくり返ったりして、便器に携帯電話を落としてしまったというケースはよくある。そのほか、「濡れた手で触ってしまった」、「風呂に持ち込んだら使えなくなった」、「テーブルに置いている時にお茶をこぼした」など、携帯電話の水没事故は少なくない。赤ちゃんがおもちゃ代わりにしていたらヨダレで水没することもあるのだとか!
現代人にとって携帯電話のデータは宝物だ。特に友人の電話番号などは、携帯電話のデータが失われたら調べようがないという人も少なくない。携帯電話を水没させてしまった時、どうしたらデータを取り戻すことができるのだろうか?
- とりあえずドライヤーで乾かす
- 水道水でひたすら洗う
- 携帯電話会社に連絡する
トイレに水没させてしまった携帯電話のデータは取り戻せるか!? (イラスト ナバタメ・カズタカ) |
【回答】まずは携帯電話会社に頼ろう! 乾かし方次第では復旧の可能性も!
携帯電話は種類が多いため、データ復旧事業者も対応しきれないというケースが多い。しかし、製造元の携帯電話会社なら何とか対応してくれる可能性もあるので、ダメ元ではあるが依頼してみる価値はある
場合によっては、データが保存されていたメディアや本体を乾燥させることで、データを救い出せることもある。その辺りのコツは以下で説明しよう
携帯電話を乾かす場合は徹底的にやること
携帯電話の本体メモリに保存されているデータは、水没で失われてしまう可能性が高い。あのコンパクトなボディに機能をギュっと納めるために、ほとんどの場合、1枚の基盤にメモリを含めたすべてが統合されている。だから、「この部分は濡れていないからセーフ」というものではないのだ。
携帯電話は種類が多い。メーカーごと、端末ごとに構造が違う。そのため、データ復旧の専門家に頼んでも千差万別すぎて面倒を見きれないのが実情だ。残念ながら、大容量HDDに保存された大容量データを何度も救ってきた凄腕のプロも、あなたの携帯アドレス帳は拾い出せないかもしれない。
では、だれなら助けてくれるだろうか? 一番可能性がありそうなのは、データのプロではなく携帯電話のプロに頼むことだ。つまり、携帯キャリアショップを通してメーカーへ修理依頼をするのがオススメ。もちろん依頼時は、「データが失われてしまう可能性もありますが、よろしいですか?」と念を押されるだろうが、それでも何もしないよりはいい。携帯電話の構造を最も理解しているのはメーカーなのだから、ダメ元で頼んでみるのもアリだろう。
本体のメモリではなく、microSDカードなど外部メモリにデータを保存していた場合は復活の可能性がグンと高くなる。綺麗な水で洗ってからじっくりと乾かしてみよう。熱で変形するような方法でなければ、ドライヤーを使ってもOKだ。ただし、外から金属が見えている端子部分には触らないように。ここには乾いていても湿っていても触ってはいけない。
もちろん、携帯電話本体を乾かしてみるという方法もある。この方法で運良く復旧した人も多い。問題は、少しでも水気が残っている状態で電源を入れてしまうと完全に壊れてしまうということだ。落としたらすぐに電池パックを抜き取ること、もし乾かしてみるならば徹底的に乾かすことをオススメしたい。
具体的には、表面に見える水をしっかり拭き取り、内部に入り込んだ水も本体を振ったり吸水性の高いもので包んだりしてできる限り吸い取ったうえで、乾燥剤と一緒に密閉容器に数日入れておくくらいの手間が必要だ。「そろそろいいかな」と数時間程度で電源を入れたら可能性がゼロになってしまう。
なお、夏の海水浴シーズンは海に携帯電話を持っていく人も少なくないだろう。万が一、海水に携帯電話を落としてしまった場合は一刻でも早く真水で洗っていただきたい。その時の手順は上記のとおりだ。
水没時も乾かしてはいけないHDD
一方、絶対に乾かしてはいけないのがHDDだ。ノートPCやポータブルHDDなども水没事故に遭うケースが少なくないが、携帯電話と同じノリで乾かしてしまうと復旧の可能性がなくなるから要注意だ。
なぜかというと、HDDの記録部分は回転する円盤になっており、ここにゴミが固着してしまうと直しようがないからだ。もう一度水をかけてふやかすというわけにはいかない。
つまり、HDDを水没させた場合は濡れたまま運ぶのが必須というわけだ。それも綺麗な水で濡れている状態でなければいけない。水道水もNG、純水レベルの本当に綺麗な水で洗い、湿ったタオルでくるんで密封袋に入れるくらいの気遣いが必要だ。ドライヤーや乾燥剤なんて言語道断なので、気をつけよう。
もし、ノートPCに水をこぼしてしまったら、ノートPCごと湿らせて運ぶよりは、HDDだけを抜き出して処理したほうがよさそうだ。そもそも、ノートPCにまつわる水難はまるごと池に落とした場合でもなければ、大抵はキーボード上にお茶をこぼしたといった状況のはず。
その場合はキーボード操作ができないだけでHDDは無事かもしれない。HDDを取り出してみて明らかに濡れていない様子だったら、外付けHDDとして使えるケースに入れて他のPCでデータを抜き取ることを試してみよう。
NASはぜんぜん安全じゃない!
複数のPCを所有する家庭も珍しくなくなった今日、複数のPCで簡単にデータを共有できるホームNAS(ネットワーク機能つきHDD)が大人気だ。容量もたっぷりあるから、各種バックアップデータをここに保存している人も多いのではないだろうか?
しかし、数万円程度で購入できる小型のホームNASを開けてみると、「HDDと基盤に小さなファンがついているだけ」と、驚くほどシンプルな構造になっている。とても24時間365日がんばれるような作りではない。かといって、使う時だけ電源を入れるというのも面倒だし、そういう使い方をすれば長持ちするというものでもない。 実際、データ復旧事業者には、個人ユーザーから「何もしていないのにNASが突然動かなくなった。どうしたら復旧できるか?」といった問い合わせがたくさん寄せられている。ホームNASは決して丈夫で長持ちするデータ保存場所ではないのだ。 ホームNASをうまく使うコツは「使い分けること」だ。複数のPCやモバイル端末から頻繁に使いたいファイルはNASに置いておくと便利だが、普段はまったく使わないファイルやバックアップデータまで置いておく必要はない。 会社のファイルサーバのようにNASも信頼できると思いがちだが、中身は普通のHDDにすぎない。壊れる時は壊れるものだと理解して、大事なデータはきちんとバックアップしたうえで上手に使い分けよう。