サプライチェーン攻撃とは、標的とする組織に直接攻撃せず、その組織のサプライチェーン内の脆弱な部分を攻撃してから、それを踏み台にして間接的に標的の組織を狙う手法です。
サプライチェーン攻撃が増えている背景
踏み台となるのは、セキュリティ対策が不十分な取引先企業や、標的の組織が利用しているサービス、ソフトウェアなどが挙げられます。この攻撃に遭うと、自社だけでなく取引先にも損害を与えてしまい、賠償問題に発展する可能性も否定できません。
近年サプライチェーン攻撃が増加傾向にあるのは、以下の2つの理由が考えられます。
1.セキュリティ対策の格差拡大:大企業のセキュリティ対策が進んでいる一方で、中小企業では費用や人材の制約から十分な対策が難しいケースが多く、攻撃者にとっては格好の標的となっています。
2.攻撃ツールの容易な入手:脆弱性情報や攻撃ツールがダークウェブなどを通じて容易に入手できるようになり、専門的な知識がなくても攻撃を実行できる環境が整っています。
攻撃のパターン
サプライチェーン攻撃のパターンとしては、主に以下の2つが挙げられます。
1.取引先や子会社への侵入:標的となる組織の子会社や取引先、サービスプロバイダに侵入し、メールアドレスなどの情報を窃取します。その後、標的組織に取引先を装ったメールを送信し、感染経路を構築します。また、グループ会社で共通して利用しているシステムを開発・運用している子会社を狙うケースも見られます。
2.ソフトウェア経由の攻撃:ソフトウェアを利用している企業に目をつけ、正規のソフトウェアにウイルスなどを仕込みます。ウイルスなどを含んだソフトウェアにアップデートした企業には、簡単に攻撃や侵入が可能になります。
サプライチェーン攻撃対策
サプライチェーン攻撃を防ぐためには、以下の対策が有効です。
1.フィッシングメール対策:不審なメールの添付ファイルを開封しないよう、社員への周知徹底を行うことです。侵入する代表的な方法として、フィッシングメールやエモテットなど、メールを使った攻撃があります。不審なメールを発見した場合には、セキュリティ担当者に相談する体制を構築しましょう。
2.ソフトウェアの最新化:システムやソフトウェアは常に最新の状態に保ち、脆弱性の露呈を防ぎましょう。最新の状態にしても新たな脆弱性が発見される場合があるため、できる限り継続して迅速にアップデートを行っていきましょう。
3.セキュリティ製品の導入:万が一侵入を許してしまったとしても、EDR(Endpoint Detection and Response)やNDR(Network Detection and Response)などの侵入後対策製品で早期に検知・対処することで、被害を最小限に抑えることができます。フィッシングメールによる感染など人的なミスに備えて、セキュリティソフトでカバーできるようにしましょう。