ToF(Time-of-Flight)センサによる3D撮影の原理
Kinectのようなアクティブステレオ方式とは違う3D形状の動画計測の他の撮影方式として、「Time-of-Filght(ToF)」形式というものも存在します。ToF形式はその名前「飛行時間(Time of Flight)」の通り、投影した光が対象物体で反射し、その光が戻ってくるまでの飛行時間を計測し、それと光の速度から対象までの距離を計るという仕組みです。三角測量・アクティブステレオ法の得意とする範囲は、カメラに近い数mの範囲までですが、ToF形式のセンサは、(原理的には)10m以降の遠い場所もデプスを計測できることができる仕組みであることが特徴です。
ToFセンサもひと昔は数十万~数百万円くらいの価格が高い製品しか存在せず、個人が手を出しにくいものだったのですが、Kinectの登場後、SoftKineticのToFセンサの安価な商用製品が登場しています。ただ、このSoftKineticのセンサも例えばDS311では解像度が160×120ピクセルであり、Kinectの640×480ピクセルよりは解像度が低いです。一方、Kinectは50cm以内の撮影ができないのですが、SoftKineticは10~20cmあたりの3D撮影も可能で、この点ではディスプレイやPCデバイスなどの近接操作の方に分があります。実際SoftkineticのDS325は椅子に座った状態でPCのディスプレイの近くでインタラクション操作を行うためのセンサとして設計されています。
3D撮影の原理まとめ
以上、ここまでKinectの3Dデプス撮影の原理を紹介しました。これで、Kinectではどういう原理でRGBDデータが撮影できるのかを理解できたと思います。また、Softkineticのような対抗製品も登場してきていることも紹介し、次世代のKinect2はSoftkineticと同じToFセンサとして登場することも紹介しました。それでは次回から、そうしたモーションデプスセンサから得られる3D動画データを用いた、人体の姿勢推定技術の仕組みと活用先について紹介してきます。