2 プロフェッショナルの責任

  • 【2.1】仕事のプロセスと成果の両方に高い品質を達成するように努力すること
  • 【2.2】プロフェッショナルとしての能力、行動、倫理的な行動に高い基準を維持すること
  • 【2.3】プロフェッショナルの仕事に付属する既存のルールを理解し、それを尊重すること

コンピューティングのプロフェッショナルは、既存のルールなどを尊重することが求められるが、そのルールが不十分な倫理基盤に基づいていたり、害を及ぼしたりする可能性を持つなど、倫理的に正しくないと判断される場合でも、ルールを破る前に、既存のチャネルを通してルールの改変を迫るべきである。ルールが倫理的でない、あるいはその他の理由で、ルールを破った場合、既存のルール違反に問われる可能性があることを考慮すべきである。

  • 【2.4】適切なプロフェッショナルの評価(Review)を受け入れ、また、与えること

  • 【2.5】コンピュータシステムの包括的で完全な評価を与えること。それには考えられるリスクの分析を含むこと

機械学習システムの潜在的なリスクを認識し、影響の軽減策を考えるときは特別な注意を払うべきである。将来のリスクの信頼できる評価が難しい場合は繰り返し評価を行う必要がある。それができない場合は、そのシステムを運用してはならない。

  • 【2.6】自分の能力の範囲内の仕事だけを請け負うこと

  • 【2.7】コンピューティングや関連テクノロジ、とその結果について公衆の知識や理解を広めること

  • 【2.8】コンピューティングやコミュニケーションを行う手段へのアクセスは、その使用が認められた場合と公共の利益のためにやむを得ない場合に限ること

誰もがシステムを使える状態になっているとしても、それだけでは使用が認められたとは解釈されない。例外的な状況では、コンピューティングのプロフェッショナルは、許可されていないアクセスを行って、悪意あるシステムの動作を止める必要が生じるかも知れない。そのような場合は、他者に害を及ぼさないよう、十分に注意して行うべきである。

  • 【2.9】システムは堅牢で、間違った使い方をしても安全であるように設計、製造されること

3 プロフェッショナルのリーダーシップの原則

ここで述べられているリーダーとは、組織やグループのメンバーであって、他のメンバーに影響力を持ち、あるいは他のメンバーを教育する責任を持ち、あるいは他のメンバーを管理する責任をもつ人を指す。そして、この3節の各項は、リーダーのなすべきことを規定したものとなっている。

  • 【3.1】すべてのプロフェッショナルはコンピューティングの仕事を行う過程において、公共の利益が最も優先されるようにすること

  • 【3.2】組織、あるいはグループのメンバーの社会的な責任を明確に指し、その遂行を動機付け、実行結果を評価すること

  • 【3.3】仕事上の生活の品質を改善するよう人員やその他の資源を管理すること

  • 【3.4】この規定の原則を反映した方針やプロセスを明確に示し、適用し、サポートすること

  • 【3.5】組織やグループのメンバーがプロフェッショナルとして成長できる機会を作ること

  • 【3.6】システムを改変したり、廃棄したりする場合は注意して行うこと

ユーザーがまだ使用している機能の変更や、その機能のサポートを止める場合は、注意深く行う必要がある。リーダーはレガシーシステムのサポートを止める場合には、取り得る選択肢をすべて検討する必要がある。もし、その選択肢が不必要にリスキーであったり、現実的でない場合は、開発者は安全度の高い移行方法を行うようにサポートしなければならない。

  • 【3.7】社会のインフラストラクチャに組み込まれるシステムは、明確に識別して特別に注意を払うこと

インフラストラクチャの重要な部品となるシステムを開発する場合は、リーダーは、それらのシステムの開発を正しく導くという特別の責任を負う。

4 この規定の順守

  • 【4.1】この規定の条文を支持し、推奨し、尊重すること

  • 【4.2】この規定の違反は、ACMのメンバーであることと矛盾する

(次回は8月30日の掲載予定です)