帳票の電子化がもたらすメリットとは?

帳票を電子化することの最大のメリットは、帳票出力にかかるコストを削減できることです。大量に消費される用紙代が不要になることや、出力に使用するプリンタ関連の消耗品にかかるコストを削減できます。

またホストコンピュータによるバッチ処理で帳票を一括出力していれば、帳票を仕分けして配送する時間やコスト、出力した帳票を保管する場所も不要になります。

大量の帳票を出力している企業では、それらの帳票を保管する倉庫などにかかる保管コストも大きなものですが、このコストの劇的な削減を期待できるのが帳票の電子化と言えます。

いみじくも社会全体がCO2の削減やエコロジーに向かっている現在、紙の消費や物流によるCO2排出削減にもつながる帳票の電子化は、企業にとってコスト削減以外に、環境対策としての取り組みを対外的にアピールできるチャンスでもあります。また、先行きの見えない原油高の高騰(帳票のデリバリーコスト)を考えても、電子化して配信するシステムのメリットは大きいはずです。

帳票を電子化することで、アクセス制限なども容易に設定できるようになります。紙に出力した帳票は物理的な管理が必要でしたが、電子化することで、文書(帳票)に対して表示・印刷・削除などの様々なアクセス制限を設定できます。

また、電子帳票に対してのアクセスログを活用すれば、どのユーザーがどんな操作を行ったのかを管理できるので、万が一情報漏えいが発生した場合でも追跡が可能になります。つまり、帳票自身に"機能"を持たせることができるのです。

電子帳票システムの導入

帳票の電子化によってペーパーレスを実現するには、電子帳票システムを利用するのがいいでしょう。電子帳票システムには、ホストコンピュータからの帳票データをコンバートする機能やオープン系システムの帳票取込機能など、電子化のための機能が用意されています。

また、これらの電子帳票システムには、電子化した帳票が必要な時にすぐに見つけられる検索機能や、Web画面上での閲覧、紙に出力できることなども求められます。電子帳票システムは他に、アクセスログの収集機能やセキュリティ機能、バックアップ機能なども備えています。

データ取込方法を確認する

ほとんどの電子帳票システムは、電子化する際の保存形式として独自フォーマットを採用しています。そのため、ペーパーレス化する帳票をスムーズに電子化できるかどうかを確認する必要があります。

電子帳票システムと連携しているツールで作成した帳票であれば電子化は比較的容易だと思いますが、元のデータがERPや他社ツールで作成した帳票データ・PDFの場合は、これらをうまく取り込めるかどうかを確認しなければなりません。多くの電子帳票システムでは、専用のプリンタドライバを使って取り込むようです。

保存形式をPDFのままで電子帳票システムを実現するには、AdobeのLiveCycle ESのLiveCycle Content Servicesや、PDFに対応した文書管理システムを使用することになります。

なお、ほとんどの電子帳票システムは、管理している電子帳票をクライアント環境からPDFで出力できるようになっているので、電子帳票化されてからのPDF対応は問題ありません。

『出典:システム開発ジャーナル Vol.5(2008年7月発刊)
本稿は原稿執筆時点での内容に基づいているため、現在の状況とは異なる場合があります。ご了承ください。