レイアウトとデータのマッピング

フォームデザインツールで作成したレイアウトデータと、データソースから取得したデータをどのようにマッピングして帳票にするかは、帳票ツールの最大の"見せ場"と言えるでしょう。

レイアウト設計ツールには、データベースからのデータをGUIで抽出する設定が可能で、どのフィールドにどのデータをマッピングするかまでを設定できるものもあります。また、抽出したデータの集計や、改ページなどの出力制御をすべてGUIで行えるツールもあります。いわゆるノンプログラミング型です。

このような機能を持ったツールを使えば、すべてプログラミングで帳票を設計するのに比べて、開発工数を飛躍的に短縮できるはずです。

外字への対応

人名の多いシステムでは、外字の出力にも気を遣います。外字の対応はアプリケーションとの関係もありますが、アプリケーションで使っている外字を帳票で出力できるかどうかもポイントとなります。

また日本語のみならず、中国語、韓国語への対応もこれからは求められる要素の1つになるでしょう。

なお、PDFにはフォントを埋め込めるので、PDF出力を使えば、外字フォントを使って出力可能です。外字の問題に悩んでいる場合は、この方法を検討してみてもいいでしょう。

クライアント側で帳票出力する際のライセンス料

帳票の出力をクライアント側で行うのか、サーバ側で行うのかもポイントです。システムの形態が、C/S型なのか、Webシステムなのかによっても異なりますが、現在の帳票開発ツールの多くは実行部分がサーバ側で動作します。ですから、帳票をクライアント側のPCで出力する場合はPDFを使うか、クライアント側に出力用のモジュールが必要になることもあります。その場合、クライアントモジュールのライセンス料金が発生する場合があるので、あらかじめ導入コストとして見積もっておかなければなりません。

PDFの書き出し

Webシステムにおいては、クライアント側での出力はPDFが事実上の標準になっているので、ほとんどのツールがPDFの書き出しに対応しています。選択のポイントとしては、PDFのセキュリティ設定といった、書き出し時における設定の有無などになります。ただし、これは出力したPDFの運用方法による部分が大きいため、必須というわけではありません。

メールやFAX出力

帳票データをそのままFAX送信したり、生成したPDFをメールで送信したりする機能を持つツールもあります。FAXは、情報インフラとしては枯れたツールですが、そのぶん企業への普及率は高いものです。発注書などの外部向けの帳票など、FAXでの出力が求められる場合もあるので、その場合はFAX出力の機能も必要となります。

PDFのメール送信は、見積書や明細書などの帳票出力目的で利用されています。こうすれば帳票を出力する側も受け取る側もペーパーレス化できます。出力した帳票を発送する件数が多い場合などは、メール送信だけでも発送コストの削減に結び付きます(相手にPDFでの出力を許可してもらう必要はあります)。この場合、PDFのセキュリティを正しく設定することが重要です。

評価版の有無

帳票ツールの開発会社の多くは、評価版をダウンロードして利用できるようにしています。ですから、導入したいツールがあれば積極的に活用してみてください。カタログやWebサイトの説明だけではわからない部分があっても、実際に使ってみればよくわかるはずです。

また、評価版をインストールするとオンラインヘルプなども一緒にインストールされるので、それを参考にするだけでも導入への判断材料にすることができるはずです。

『出典:システム開発ジャーナル Vol.5(2008年7月発刊)
本稿は原稿執筆時点での内容に基づいているため、現在の状況とは異なる場合があります。ご了承ください。