CEATEC JAPAN会場を舞う可変構造の羽ばたきロボット
CEATEC JAPAN 2018にてロームブースでは、CEATEC JAPAN 2015に登場して以来、もはや毎年の恒例行事となった折り鶴飛行体「ORIZURU」の飛行デモに加え、今回新たな飛行体「Wi-Fly(ワイ-フライ)」の飛行デモを1日9回、各ステージでのプレゼンテーションの最後に実施している。
Wi-Flyは、早稲田大学 電子物理システム学科 渡邉研究室の学生たちがORIZURUの着想を元に開発した可変構造型の羽ばたきロボット。その場にとどまりながらの飛行を実現するホバリングモードを基本に、自在に飛び回る飛行モードへと変形することで、自在に空中を飛び回ることを可能とした。
その変形機構は至ってシンプルで、重りとなっているバッテリの位置を変更することで、モードの切り替えを実現するというもの。ただし、その開発にはいろいろと苦労があり、最大のポイントとなったのは、可変時の飛行安定性だという。重さが変化している中でもバランスをとれないと、墜落してしまうため、その羽ばたきと、可変タイミングのアルゴリズムの調整が実現のカギとなったという。
センサのAFE IC開発を1か月に短出するソリューション
このほか、同社では商品化をしたばかりや、まだ開発中の最新ソリューションといったものも展示されている。例えば、新ソリューションとして、センサシステムのアナログ・フロント・エンド(AFE) ICの開発期間を従来のソリューションであれば1年間かかっていたものを1か月程度で終えることを可能とした「センサAFE向けFlexiblePlatform」の紹介が行われている。
これは、センサのAFEが必要とするさまざまなアナログのコアな回路を用意したIC「BD40002TL」の中から、自身が構成したいアナログの回路だけを選択することで、必要とするセンサシステム向け回路をフレキシブルに実現することを可能とするもの。デモでは、磁気センサ、赤外線センサ、圧力センサをスイッチで切り替えて、1つのICで処理できる様子を見ることができる。
これでセンサシステムを評価した(センサ自身はローム製でなくても接続が可能)後、セミカスタム化したICをロームで製造。カスタマに提供するという取り組みも9月よりスタートしており、今後、こうした取り組みを通じて、より幅広いセンサシステムの活用ニーズに対応していきたいとしている。
このほか、開発中のソリューションとして、32ビット低消費マイコンと加速度センサを組み合わせ、地震により建物にどの程度の被害が生じるかを数値化したSI値による地震検知と、地震ではない揺れを見極める独自のアルゴリズムにより、地震の波形であるのか、何かがぶつかった衝撃とか、別の揺れであるのか、といったことを瞬時に解析することで、地震のときだけ、機器を停止させる、といったことを可能とする「地震検知センサモジュール」や、MI(Magneto-Impedance)センサを用いることで、非接触でシステムに流れている電流を検出することが可能な「非接触型電流センサ」といったものも紹介されている。
地震検知センサモジュールの精度は現時点で97.5%とのことで、今後、精度の向上を図りつつ、2018年末までにサンプル出荷を開始し、2019年4月以降に量産をする計画としている。一方の非接触型電流センサの方は、今年度中のサンプル出荷を計画しているとのこと。
進化するモノづくりコンテスト
ロームでは2016年から、ローム製品を活用したプロトタイプコンテスト「ROHM OPEN HACK CHALLENGE」を開催してきたが、3年目となる今年は、新たな進化の方向性を展示。最優秀作品である「筋斗雲型モビリティ きんとん」にMashupAwards2018の2nd STAGEへの進出権、同じく最優秀賞の「winOpen」にGUGEN2018の展示会・授賞式 出展権がそれぞれ与えられた。
これは、同チャレンジの運営がMashupAwardsと同じであったことや、昨年のMashupAwardsにセンサメダルを提供していたといった縁から始まった取り組みで、これまでも参加者が同チャレンジとMashupAwards、GUGENなどに個別に参加していることなどを受けて、目標とする方向性も同じであるといったことを踏まえて、こうしたつながりが生まれたという。