「https」挿絵

今回のテーマは「https」だ。

PCでインターネットをやる者なら、「http」ないし「https」は必ず目にしたことがあるだろう。インターネットを閲覧する時、アドレスバーには大体それから始まるアドレスが表示されているからだ。

しかし、私はその意味を知らない。20年近く毎日見続けているのに、何かわかってないのだ。

だが、それは当たり前のことなのだ。PCが家に来た17歳のころから、ネットを見る目的と言ったら、大体が推しキャラの御姿を拝見することだ。画面に推しがいるのに、その上にあるバーを視界に入れて「このhttpとはどういう意味だろう」などと考えるのは、推しに対する集中力が欠けすぎている。

そして、httpの意味を知らぬまま、世の中はhttpsになってしまったようだ。

静かに強化されていた「インターネット」のセキュリティ

今現在、主に推しの御尊顔を拝見するのに使っているサイトであるpixivを見てみたら、確かにアドレスは「https」から始まっている。これまで全然気づかなかったが、さっきも言ったように、pixivに推しを見に来ておいてアドレスを気にする方がおかしいのだ。

とにかく、httpsの話をするならまず、httpの意味を知らなければいけないだろう。

Hypertext Transfer Protocol(ハイパーテキスト・トランスファー・プロトコル、略称 HTTP)とは、HTMLなどのコンテンツの送受信に用いられる通信プロトコルである。主としてWorld Wide Webにおいて、WebブラウザとWebサーバとの間での転送に用いられる。ハイパーテキスト転送プロトコルとも呼ばれる。(引用:「HTTP」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』2018年1月9日 (月) 17:00)

どうやら、わかりたい、と思ったところでわかり合えない相手だったようである。まず「通信プロトコル」がわからない。こちらがわかってないのを承知でわざと難しい言葉を使うのは、三流意識高い系のすることだ。

通信プロトコル(つうしんプロトコル、Communications protocol)、あるいはネットワーク・プロトコルは、ネットワーク上での通信に関する規約を定めたものである。「通信規約」や「通信手順」と訳す場合もある。(引用:「通信プロトコル」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』2018年1月9日 (月) 17:00)

なるほどわかった。何故わかったかというと、ここらへんでわかったことにしないと、永遠にウィキペディアをコピペすることになるからだ。

ともかく、httpがネット上で何かやりとりする時の通信手順、ということはわかった。では「https」は何か、「httpスーパー」か。

HTTPS(Hypertext Transfer Protocol Secure)は、HTTPによる通信を安全に(セキュアに)行うためのプロトコルおよびURIスキームである。厳密に言えば、HTTPS自体はプロトコルではなく、SSL/TLSプロトコルによって提供されるセキュアな接続の上でHTTP通信を行うことをHTTPSと呼んでいる。(引用:「HTTPS」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』2017年12月25日 (月) 17:00)

つまり、httpよりセキュリティに優れた通信プロトコルだ。と、言えてしまえば楽なのに「厳密にはプロトコルではない」という。全体的にこちらに素直に理解させる気がない話だが、ともかく、こっちが推しの雄姿を見ている間に、インターネットのセキュリティは強化されていたのである。

どのようにセキュリティを強化しているかというと、httpはメッセージをそのまま送受信するが、httpsは通信内容を暗号化、改竄検出などを行うようだ。そうすることにより、なりすまし・中間者攻撃・盗聴などを防ぐという。

ここまでの話を総合すると、URLがhttpsで始まるpixivは、httpのサイトよりセキュリティが優れているということだ。これは助かる。「pixivから何か情報が洩れる」というのは、社会的な死を招きかねない大事件だからだ。

では全部httpsにした方が良いということになるが、何事にもメリットとデメリットがある。httpsには、導入に費用がかかる、https非対応の広告などが非表示になる、暗号化などをするためサーバに負担がかかる、古いブラウザでは閲覧できない、などのデメリットがあるようだ。確かに、いくらセキュリティに優れてますよと言われても、httpsでアクセスする条件を満たせなかったばかりに、推しの姿が非表示になってしまってはまったく意味がない。

しかし、さまざまなウェブサイトを見て回ったところ、すでにhttpsになっているところは非常に多い。大手通販サイトはもちろんニュースポータルも対応していたし、さらにはFGOのPCサイトも対応済みだった。あと、このマイナビのサイトもhttpsになっている。そのうち、「httpsが見られないような、古いブラウザを使っている方が悪い」と言われるようになるだろう。

技術が進化するのは良いが、それについていくのも大変だし、金がかかる。

<作者プロフィール>

カレー沢薫
漫画家・コラムニスト。1982年生まれ。会社員として働きながら二足のわらじで執筆活動を行う。デビュー作「クレムリン」(2009年)以降、「国家の猫ムラヤマ」、「バイトのコーメイくん」、「アンモラル・カスタマイズZ」(いずれも2012年)、「ニコニコはんしょくアクマ」(2013年)、「やわらかい。課長起田総司」(2015年)、「ねこもくわない」(2016年)。コラム集「負ける技術」(2014年、文庫版2015年)、Web連載漫画「ヤリへん」(2015年~)、コラム集、「ブス図鑑」(2016年)、「やらない理由」(2017年)など切れ味鋭い作品を次々と生み出す。本連載を文庫化した「もっと負ける技術 カレー沢薫の日常と退廃」は、講談社文庫より絶賛発売中。

「兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃」、次回は2018年1月16日(火)掲載予定です。