Microsoftのチュートリアルで学んでいこう
前回までで、Windows APIを使ってモーダルダイアログボックスを作成した。短いソースコードで実際に動作するウィンドウプログラミングを体験するものとして、ダイアログボックスを表示するMessageBox()はわかりやすいものだったと思う。今回から、ウィンドウを作成する基本的なコーディング方法を取り上げていく。
Windows APIを利用したウィンドウプログラミングとしては、Microsoftが提供している次のチュートリアルに沿って学習を進めるのがよいだろう。比較的短く簡潔にまとまっており、説明もわかりやすい。
ただし、上記チュートリアルに掲載されているサンプルソースコードは、現在ではそのままではビルドできないし、ビルドできるようにしてもウィンドウが表示されない。学習を進めていくには多少内容を現状に合わせて書き換える必要がある。チュートリアルを読み進めるにあたって、まずは掲載されているサンプルソースコードをビルドして実行できるようにする必要があるので、今回はその部分を取り上げる。
コンパイルできるようにサンプルを書き換え
先ほどのチュートリアルには次のソースコードが掲載されている。これはブランクのウィンドウをレンダリングするというものだ。
チュートリアルに掲載されているソースコード
#ifndef UNICODE
#define UNICODE
#endif
#include <windows.h>
LRESULT CALLBACK WindowProc(HWND hwnd, UINT uMsg, WPARAM wParam, LPARAM lParam);
int WINAPI wWinMain(HINSTANCE hInstance, HINSTANCE hPrevInstance, PWSTR pCmdLine, int nCmdShow)
{
// Register the window class.
const wchar_t CLASS_NAME[] = L"Sample Window Class";
WNDCLASS wc = { };
wc.lpfnWndProc = WindowProc;
wc.hInstance = hInstance;
wc.lpszClassName = CLASS_NAME;
RegisterClass(&wc);
// Create the window.
HWND hwnd = CreateWindowEx(
0, // Optional window styles.
CLASS_NAME, // Window class
L"Learn to Program Windows", // Window text
WS_OVERLAPPEDWINDOW, // Window style
// Size and position
CW_USEDEFAULT, CW_USEDEFAULT, CW_USEDEFAULT, CW_USEDEFAULT,
NULL, // Parent window
NULL, // Menu
hInstance, // Instance handle
NULL // Additional application data
);
if (hwnd == NULL)
{
return 0;
}
ShowWindow(hwnd, nCmdShow);
// Run the message loop.
MSG msg = { };
while (GetMessage(&msg, NULL, 0, 0))
{
TranslateMessage(&msg);
DispatchMessage(&msg);
}
return 0;
}
LRESULT CALLBACK WindowProc(HWND hwnd, UINT uMsg, WPARAM wParam, LPARAM lParam)
{
switch (uMsg)
{
case WM_DESTROY:
PostQuitMessage(0);
return 0;
case WM_PAINT:
{
PAINTSTRUCT ps;
HDC hdc = BeginPaint(hwnd, &ps);
FillRect(hdc, &ps.rcPaint, (HBRUSH) (COLOR_WINDOW+1));
EndPaint(hwnd, &ps);
}
return 0;
}
return DefWindowProc(hwnd, uMsg, wParam, lParam);
}
しかし実際には、この連載で用意した環境でコンパイルしようとすると次の部分がエラーになると思う。
コンパイルエラーになる部分
WNDCLASS wc = { };
コンパイルエラーになる部分
MSG msg = { };
この部分は次のように書き換えるとエラーを回避できる。
コンパイルエラーにならないように書き換えた後
WNDCLASS wc;
コンパイルエラーにならないように書き換えた後
MSG msg;
これでコンパイルは通るようになるが、実際にはアプリケーションを実行してもウィンドウは表示されない。掲載されているサンプルのままでは、用意した環境ではウィンドウクラスの登録に失敗するためウィンドウの表示までいかない。