先々月頭よりずっと海外出張が続いておりましたが、ようやく執筆する時間がとれましたので、引き続き、僕も大注目しているベトナムでのビジネスチャンスをテーマに、さらに深い情報をお伝えしたいと思います。

執筆者紹介

渡邊健太郎(Watanabe Kentaro)


専修大学在学時にエンパワーメント(現ネットランドジャパン)を創業。現在も代表取締役 副社長の肩書きを持つ。2004年~2006年にはライブドア社長室にも所属。同社の子会社であるブロードバンドピクチャーズの代表取締役などを務めた経験を持つ。

現在、カンボジアでのホテル経営にも携わっているほか、経営コンサルタントとしても活躍しており、「アイデア発想・ビジネスモデルセミナー」の講師なども務めている。ブログ「チャンスを掴むビジネスアイディア発想法」も好評執筆中。

注目はスイーツ

前回もお話しましたように、ベトナムは日本人にとってビジネスチャンスが溢れている国だと思います。

「一体どこにそんなビジネスチャンスがあるのか? 」と思われるかもしれませんが、難しく考える必要はありません。身近なところから注目していけば良いのです。

例えば、僕も大好きなスイーツやカフェ。

数年前では、ベトナムで「美味しいスイーツが食べたいな」と思っても、日本人が求めるようなクオリティーのケーキ、菓子を見つけ出すことは困難でした。それが、現在では、繊細な味のスイーツを出すお店も増えてきています。内容も、以前は日本の2~30年前に主流だったバタークリームケーキがほとんどでしたが、最近ではきちんと生クリームを使用したケーキが店頭に並ぶようになってきています。また、富裕層を中心に、お土産用や持ち帰りデザートとしてスイーツを購入するという文化が広がってきているように感じます。

カフェに関しても、ここ数年で少しずつ変化が見られます。例えば、ホーチミンにある富裕層向けのショッピングモールにはアルマーニカフェが入りました。また、街中には米国やヨーロッパのスペシャリティコーヒーチェーンを模したカフェチェーンが広がっています。さらには、日本で見られるのと同じような、個人経営のおしゃれで、こだわりのあるカフェも時々目にするようになってきました。こういったカフェ文化の拡大に伴い、そこで提供される飲物や、スイーツのレベルも上がってきているように思います。

もう少し「食」の分野で見てみましょう。スイーツから少し広げたところで、ベトナムのパン屋さん(ベーカリー)にも変化が出てきています。ここ数年で急増しているのが、韓国やマレーシアなどの外国資本の高級パン屋チェーンで、内装や雰囲気、売り方など、おしゃれなお店を展開しています。

こういったパン屋さんでの販売方法は日本と同様で、お客様が好きなパンをトングで取り、トレイに乗せて、レジに持って行って購入するというかたちです。パン1つ1つをビニール袋に入れてくれるので、衛生的なうえに特別感もあり、人気のようです。気になる価格帯は、日本と比較すれば安いものの、地元のパン屋さんでの販売価格と比較したら3~4倍の価格がつけられています。それでも、お店はいつも混み合っている状態。現地の富裕層がまとめ買いをしている姿をよく見かけます。

日本のスイーツ店も進出中

このように、ベトナムマーケットではスイーツ店やパン屋、カフェがここ数年で拡大しています。そして、その好機を逃すまいと、すでに日本のスイーツブランドも進出を始めています。

その一つが、日本で「独特の食感を楽しむことができる」とシュークリームブームを巻き起こした「ベアードパパ」です。富裕層向けのショッピングモールなどに出店しています。また、ホーチミンにある「ビンコムセンター」というショッピングモールの地下には、どら焼きやまんじゅう、いちご大福といった和菓子を販売しているカフェもあります。現地のガイドさんの話によると、これらはベトナムの方々にとって少し高めの価格設定なので、もう少し安く提供できると、大ブームになるのではないかということでした。

僕は、日本のスイーツは、世界で成功する可能性が高いのではないかと考えています。なぜなら、世界中に足を運んで各国のスイーツを食べてきましたが、日本は世界一種類が豊富で、クオリティーも非常に高いのです。

タイやシンガポールのショッピングモールには、すでにさまざまな種類の日本スイーツを楽しむことができます。おそらくベトナムでも同様の現象が起き、これから確実に増えていくでしょう。日本のスイーツ店がベトナムに進出するなら"今がチャンス"と言えるのではないでしょうか。日本の屋台スイーツ(たい焼き、りんごあめ、水あめ、チョコバナナなど)や、日本で流行のテイクアウト型のスイーツショップなども面白いビジネスになると思います。

お土産ビジネスに秘められた大きな可能性

さらにもう少し視野を広げると、これからのベトナムでは、単純なスイーツのみならず、お土産ビジネスにも大きなチャンスがあると考えています。

なぜなら、ベトナムで何か食べ物のお土産を購入したいと思っても、「これは是非買って帰りたい! 」と思えるようなお土産が全くと言っていいほど見当たらないのです。お土産のパッケージ(包装)も、お菓子の味や形も、正直、クオリティーが低いと言わざるをえません。そんな状況ですから、スイーツと合わせてお土産まで視野に入れてビジネスを展開すると、大きく発展する可能性が高いのではないかと思います。

実のところ、ベトナムのお土産ビジネスに関しては、もう1つ"うまみ"があります。それは、海外観光客のみならず、国内観光客からの売り上げも相当量期待できるという点です。

というのも、ベトナムは、日本と似ていて国土が細長いうえ、観光スポットが各地に存在します。そのため、今後は"外需"だけではなく、"内需"も増加してくるのではないかと思われます。日本では、各地方のどこを訪れても、その土地の名産や、ご当地もののキャラクター商品がたくさんあるうえ、お土産で町おこしを行っている自治体もあるくらいです。ベトナムでも近い将来、同様の状況になるのではないかでしょうか。

これから日本でスイーツのお店を始めるのであれば、ぜひとも思いとどまって、ベトナムでの起業をオススメしたいです。現在のベトナムは、土地の価格が高騰してきていますが、まだまだ日本ほどではありませんし、手先の器用な労働者が安価で豊富に存在しています。そういった点に注目して現地に住む日本人が急速に増加していますし、そのほかの国からもたくさん移住していきています。

新しいもの好きであるベトナム人富裕層を取り込みながらビジネスを軌道に乗せ、現地向けに少しずつローカライズ、価格調整を行う。そうすれば、きっとベトナム中を魅了する大ヒット商品を生み出せるはずです。