今回は、最近、日本人若手経営者の活躍をたくさん見かけるようになったベトナムについてお話をしたいと思います。
執筆者紹介
渡邊健太郎(Watanabe Kentaro)
専修大学在学時にエンパワーメント(現ネットランドジャパン)を創業。現在も代表取締役 副社長の肩書きを持つ。2004年~2006年にはライブドア社長室にも所属。同社の子会社であるブロードバンドピクチャーズの代表取締役などを務めた経験を持つ。現在、カンボジアでのホテル経営にも携わっているほか、経営コンサルタントとしても活躍しており、「アイデア発想・ビジネスモデルセミナー」の講師なども務めている。ブログ「チャンスを掴むビジネスアイディア発想法」も好評執筆中。
ベトナムの現在
道を埋め尽くすバイクの群れ、強烈に照りつける太陽、そして何だかよくわからないけれど、人々が今まさに生きているという強烈なエネルギー。ベトナム最大の都市であるホーチミン・シティはそんな印象の街です。そして、そのホーチミンをはじめ、熱気に満ちた都市をいくつも抱えるベトナムという国は、訪れる度にビジネスチャンスに溢れた地であることを思い知らされます。
ビジネスの観点から見たベトナムの魅力としては、ASEAN諸国と比較したときの労働者の質の高さと賃金の低さ、人口が多く消費欲も旺盛なマーケットなどが挙げられます。最近では、中国などへの一極集中によるリスクを避けようとする企業からも注目を浴びており、日本の製造業を中心にベトナムへの進出が急増しています。わかりやすくお伝えすると、昔のタイと同じような状況になりつつあります。
例えば、私の友人は、ベトナムのホーチミンで、日本人駐在員とその家族を対象とした歯科医院を始めて成功を収めています。また、某IT企業のベトナム投資部門の責任者だった友人は、日本のおいしいピザを現地の駐在員家族や観光客向けに提供しはじめたところ、お店は連日連夜の賑わいです。
このように、ベトナムで成功するためには、ベトナムにない日本のものを持ってきて、素早く事業を立ち上げることが必要だと言われています。ベトナムで活躍している社長さんは、8ヶ月で黒字化させる方が多いようで、「それが要求されている」とも話していました。日本であれば、黒字化するのに3年や5年と言われますから、大きな違いです。
これほどまでのスピード感が求められるということは、ベトナムではもたもたしていると競合がすぐに出てきてしまうのでしょう。参入、立ち上げ、事業拡大という「ホップ・ステップ・ジャンプ」を日本での起業時の数倍早く行う必要があるようです。
ホーチミンには、某伝説的バンドのボーカルのお兄さんが経営しているカラオケ店があるのですが、オープンした5年前にはほとんど競合はいなかったそうです。しかし、その後、カラオケ店が一気に増加して過当競走になってしまい、現在は店を大幅にリニューアルしたり、エンターテインメント性を高めるサービスを提供したりと、付加価値増に努めているということでした。ちなみに、今からカラオケ業へ参入するのは厳しいそうです。
次の狙い目はこのビジネス!
僕が現在、ホーチミンで面白いと思っているビジネスは教育ビジネスです。
社会主義国ということが影響しているのか、ベトナムはASEAN諸国の中でも特に教育に力を入れています。教育を、国家の基盤を形成する極めて重要な要素として位置づけており、国民も大変勉強熱心です。それゆえ、親が子供に対して行う投資も活発な状況にあります。
こういった国で何が流行るかといえば、当然、教育産業です。簡単に言えば、塾がもてはやされます。日本からは、すでにKUMONが進出していますが、大変な加熱ぶりです。
ベトナムには、家電や車など、Japanパワーを感じさせる様々な日本製品が溢れていることから、現在も日本に対する尊敬の念のようなものが色濃く残っています。そんな文化であるため、日本の学習メソッドをうまくアピールできれば強いブランドとして確立できる可能性があります。例え日本では全く無名な塾であっても、ベトナム人の心を掴むことはできるでしょう。そうなれば、親は惜しげもなくお金を投資します。例え高額な料金だったとしてもです。
もう1つ、私が面白いと思っているビジネスが、同じく子供がターゲットとなるテーマパークです。
最近、ベトナムには、ちょっとした遊園地のようなものが増加しています。しかし、そのクォリティーは決して高いとは言えません。そうした状況の中で、日本のような質の高いテーマパークが作れれば、大きな成功を収められるのではないかと考えています。直接経営するのではなくても、日本で倒産した遊園地の遊具などを安く購入して、ベトナムのテーマパークへ売るというビジネスもおもしろいかもしれません。
そのほか、BtoBではIT分野の伸びが際立っています。安くて質の高いプログラマーも大勢いるので、彼らを上手にマネージメントしてオフショア開発の受託を行っている企業が少なくありません。特にスマートフォン向けソフトウェアの受託が増えていると聞いています。