それでは、今回は、今、アジア諸国で最も経済発展の著しいと言われているカンボジアのビジネスチャンスについて皆さんにお伝えしたいと思います。

執筆者紹介

渡邊健太郎(Watanabe Kentaro)


専修大学在学時にエンパワーメント(現ネットランドジャパン)を創業。現在も代表取締役 副社長の肩書きを持つ。2004年~2006年にはライブドア社長室にも所属。同社の子会社であるブロードバンドピクチャーズの代表取締役などを務めた経験を持つ。

現在、カンボジアでのホテル経営にも携わっているほか、経営コンサルタントとしても活躍しており、「アイデア発想・ビジネスモデルセミナー」の講師なども務めている。ブログ「チャンスを掴むビジネスアイディア発想法」も好評執筆中。

一昔前とはほぼ異国

まずカンボジアについて、皆さんどのようなイメージをお持ちでしょうか?

地雷が街中にあふれる危険な国というイメージをお持ちかもしれません。あるいは、アジア最貧国で、孤児の多い国というイメージでしょうか。

しかし、そんなネガティブなイメージで語られることの多かったカンボジアも、今やASEAN地域の経済発展にリンクして毎年高い成長率を記録しています。

現在のカンボジアについては、日本の50年前、中国の20年前の雰囲気を想像してもらえればと思います。日本の50年前というと、1960年代ということになりますね。

どんな時代だったかというと、戦後復興期を過ぎ、まさにこれから成長期に突入する入り口という頃です。

カンボジアは地理的にはタイ、ベトナム等に囲まれ、まだまだそれらの国々と比較すると圧倒的に発展が遅れているわけですが、今年2011年にカンボジア証券取引所がオープンしたこともあり、今後急速に発展することが予測されます。

カンボジアの主要産業

カンボジアは、ざっくりと説明すると、「農業収入+観光収入+軽工業収入+援助金」によって国が成り立っています。このうち、特に大きな収入源である、農業と観光について簡単にご紹介しましょう。

農業は米が中心、将来的には輸出も

まず農業について見てみましょう。農業はカンボジアの最大の産業であり、2009年時点でGDPの34%という比率です。肥沃な土地に恵まれ、地理的にはASEANの中心地、農業従事者が人口全体の約70%と言われています。

人口は約1700万人~1800万人で、食物自給率としては、米は内需をまかなうだけでなく、外需をまかなうことのできる力をもっています。

私が現在構想しているのは、病害虫には弱いものの、普通のお米よりも高価格で取引のできるジャポニカ米をつくっていくこと。ASEANの日本料理店において高いニーズがあると考えています。そして、日本へのジャポニカ米の輸出ということも考えられると思います。

また、内需がとても少ない国なので、カンボジアは外需向けに 農業分野で競争力を持っていくべきだと思います。私も「日本の食料庫としての役割を担ってもらうために、カンボジアとアライアンスができないか?」といつも考えています。日本の農業技術やオーガニック技術を投入することで、カンボジアの米の収穫量をかなり増やせる可能性はあるはずです。ですから、この農業ビジネスはとてもチャンスがあると思います。

世界遺産多数、観光客増加中

また、観光収入のほうですが、カンボジアのシェムリアップは、国際的に名高い、アンコールワットがある都市です。世界遺産にも認定されており、世界的にも珍しい遺跡がたくさんならんでいます。

地元新聞紙のPhnom Penh Postによれば、今年の上期6カ月間にカンボジアを訪れた観光客数は、前年同期比で14%増だそうです。居住国別の内訳は、ベトナム、韓国、中国、米国、日本という順番で、ベトナムが35万1000人、韓国が19万9000人、中国が13万6000人。ベトナム、韓国は前年同期比20%増、中国は38%増とのことです。

カンボジア観光省によれば、今年は欧州に加えてアセアン諸国との航空便の就航で、観光客数は増え続ける見込みのようです。今年の観光客予想人数は、280万人~300万人、観光収入は約20億ドルの見込みを立てているとのことでした。

つまり、簡単に言うと、約300万人の人がアンコールワットを訪れているということです。300万人の人から、どんなお金を払ってもらうか?何に対してのお金を払ってもらうのか。日本人も10万人近くが訪れているので、その観光客1人から1万円ずつ払ってもらうビジネスが出来れば、10億のビジネスができます。

私の知っているアンコールクッキーというクッキー屋さんがあるのですが、なんと、日本人観光客を相手に約1億5000万円の収入があるようです。

これまでにお土産事業のなかったカンボジアで、日本人が持って帰りたいお土産を作っただけでこれだけのビジネスになっているのです。つまり、観光で訪れた時に、「日本にはあるのに、カンボジアにはないな。あればいいのに。」というものを見つけ、やり始めればいいのです。これはカンボジアだけでなく、他のアセアン諸国でも同様。観光関連ビジネスはとても面白いと思います。