これまでは、国内にいながらできる海外人脈の構築方法を紹介してきましたが、今回は、実際に海外に赴いて行う人脈構築方法をお伝えしたいと思います。
"海外で人脈作り"というと、「言語が話せない」「どう接していいかわからない」と、言葉や文化の壁によるアレルギーが出てしまいがちです。そこでオススメなのが、海外で活躍している日本人起業家の方々との人脈構築です。
執筆者紹介
渡邊健太郎(Watanabe Kentaro)
専修大学在学時にエンパワーメント(現ネットランドジャパン)を創業。現在も代表取締役 副社長の肩書きを持つ。2004年~2006年にはライブドア社長室にも所属。同社の子会社であるブロードバンドピクチャーズの代表取締役などを務めた経験を持つ。現在、カンボジアでのホテル経営にも携わっているほか、経営コンサルタントとしても活躍しており、「アイデア発想・ビジネスモデルセミナー」の講師なども務めている。ブログ「チャンスを掴むビジネスアイディア発想法」も好評執筆中。
海外ビジネスに適した地域の条件
新たに海外ビジネスにチャレンジする際には、以下のポイントを満たすエリアを選ぶのが良いでしょう。
- 物理的な距離が近いこと
- 日本に対して、ブランド価値信仰を持っていて、比較的親日であること
- 物価が安いこと
- 飛行機運賃等が安いこと
- 発展途上で、今後伸びるマーケットエリアであること
これを加味すると、中国以外のアジア諸国が有力な選択肢になります。最初の一歩としては、そこで活躍されている日本人の起業家の方々との人脈を構築するのが適しています。もっとも、人脈構築にもポートフォリオが必要です。将来的には、アジアの各地域に分散するようなかたちで人脈を構築するのがベストだと考えます。
何だか「人脈構築」と言うと、とてもビジネス的であり、難しく感じるかもしれません。しかし、決して特別なビジネススキルが求められるわけではありません。大切なのは「海外での仲間作り」というスタンスです。一緒にご飯を食べたり、お酒を飲んだり、ときには困った時にお家に泊めてくれるような仲間を作るということだと思います。
アポ取りで大切なこと
では、実際に海外でゼロから人脈を作るにはどのようにしたらいいのでしょうか。最も簡単な方法をお教えしますね。
まず、グーグルやヤフーなどの検索エンジンで、「自分の行きたい国・好きな国日本人起業家(スペース)ブログ 」で検索してみてください。例えば「タイ(スペース)日本人起業家(スペース)ブログ」といった具合です。その検索結果から色々なページやブログをブラウンジングしていくと、何人もの起業家たちのブログやサイトが見つかると思います。
まずチェックすべきは、ブログの更新頻度、内容、プロフィール、事業内容です。アジアの国々には、日本人向けに進出コンサルティング、人材採用コンサルティング、邦人向けフリーペーパーを発行している会社等が必ずあります。そのような業種に関わっていて、かつ更新頻度の高い社長さんのブログを見つけたら、「現地への進出に興味がある」「現地での企業に関心があるので、是非とも相談にのってほしい」というメッセージを送ってみましょう。例えば、以下のような具合です。
「私は、このような事業でタイに進出したい(立ち上げたい)と思っており、今度、市場調査を兼ねて現地を訪れる予定です。その際に、一度お時間をいただけませんか。」
もっとも、これだけでは会ってもらえる確率はさほど高くありません。彼らは何者だかまったくわからない相手と気軽に会うほど、時間を持て余してはいないのです。そこで重要になるのが、「自分が何者であるのかということを客観的に証明する」ことです。これを押さえておけば9割アポイントを取ることが出来るはずです。
一番良いのは、自分の会社のホームページを記載した上で、簡単に会社の紹介と事業の方向性を伝え、そちらの国でビジネスをやりたいという意志をしっかり伝えることです。自社のホームページがない場合は、ブログでも大丈夫です。自分のブログをプレゼンツールと考えて、各記事の中にモノゴトの考え方、ビジョン、人間性などを表現し、ある程度運用しておきましょう。つまりは、相手の社長さんから見て、自分がお客様対象となる人間であるということが伝わるようにアプローチするということです。そこを踏み外さなければ、必ずアポイントをとることができます。
お土産は重要、食事にも誘え!
アポイントが取れたら、訪問時には必ず日本からおみやげを持っていきましょう。実は、このお土産もかなり重要です。ブログ等から個人的な趣味思考がわかる時には、そこに沿うようなおみやげを用意してみてください。現地でそれを手に入れようとしたら日本よりもコストがかかり、手に入れることが困難で、その社長さんやご家族が欲しがっているものが理想です。このプレゼント作戦は、意外と大きな成果をあげます。おみやげを持っていくことで、話しの切り出しがラクになり、打ち合わせの入りをスムーズに進められます。
それから、打ち合わせでは夕食に誘いましょう。「おいしいものを食べたいので紹介してほしい。勝手がわからないので、一緒にご飯を食べに行っていただけたら嬉しい」とお話しすると、その日に予定が入っていなければ大抵は食事に付き合ってもらえます。
一緒にご飯を食べられる関係になったらしめたものです。日本的"ノミ二ケーション"で、どんどん語り合いながら、楽しみましょう! 食事の席では、お友達の経営者を呼んでいただけることもあるかもしれません。基本的に、アジアのどの国でも日本人起業家コミュニティーはとても小さく、有機的に、数珠つなぎでつながっているので、"友達の友達は皆友達"という感じでどんどん人脈が広がっていきます。これを繰り返していけば、どの国の日本人起業家の方々とも仲良くなれます。
私もこのような方法で人脈を増やして、海外での事業展開を進めております。