今回は、日本にいながらできる海外人脈構築方法の3つ目の方法をお教えします。今回のポイントになる場所は、「企業展示会」です。
東京およびその近郊では、幕張メッセ、東京ビックサイト、東京国際フォーラムなどで、様々な業界向けの展覧会が行われます。これらの中から比較的海外企業の出展が多い展示会を選んで見学に行くと、海外人脈や輸入ビジネスの基礎が構築できます。私なりのやり方を、順を追ってご紹介しましょう。
執筆者紹介
渡邊健太郎(Watanabe Kentaro)
専修大学在学時にエンパワーメント(現ネットランドジャパン)を創業。現在も代表取締役 副社長の肩書きを持つ。2004年~2006年にはライブドア社長室にも所属。同社の子会社であるブロードバンドピクチャーズの代表取締役などを務めた経験を持つ。現在、カンボジアでのホテル経営にも携わっているほか、経営コンサルタントとしても活躍しており、「アイデア発想・ビジネスモデルセミナー」の講師なども務めている。ブログ「チャンスを掴むビジネスアイディア発想法」も好評執筆中。
お目当ての展示会探し
ご存知の方も多いかもしれませんが、まずは、展示会の探し方に触れておきましょう。
希望の展示会を探すには、大型展示会場のホームページを覗くのが一番です。そこには、各展示会場で開催予定の展示会名が記載されています。展示会にも様々な業界のものがあることがわかるはずです。
今回は、海外人脈の構築がテーマなので、海外企業の出展が多い展示会をピックアップしましょう。ほとんどの展示会は、事前に個人情報を登録すると無料で入場チケットを発行してもらえます。この"無料チケット"が"海外人脈構築のパスポート"になるのです!
展示会での立ち振る舞いのポイント
大規模な展示会は大抵、数日間にわたって開催されます。そして、大きな展示会ともなると、あまりに広すぎて、とても全ては回りきれません。ですから、訪問先をある程度絞ることが大事です。
会場に着いたら、配布されている出店企業一覧マップで、興味のある商品/サービスを展開している海外企業をチェックし、優先度の高い企業から順に回っていきます。
ブースを訪れたときに忘れてはいけないのが「名刺交換」です。営業責任者などとドシドシ名刺交換し、しっかり話をしましょう。展示に力を入れている企業の中には、初日に社長が参加している場合もあります。相談ブースが設けられていれば、「そこでゆっくりビジネスの話がしたい」と声をかけてもいいでしょう。
ここで1つ注意点があります。
来場者の立場からすると、展示会場でじっくりと話をして、すぐにでも親しくなりたいと考えるでしょう。しかし、出展企業としては色々な相手と会っておきたいので、(特に来場者が多く、対応も不慣れな初日は)1回の打ち合わせを早く切り上げたいと思う人がほとんどです。したがって、ここで無理に対応をお願いしてはいけません。相手のことを配慮して、「お忙しそうですから、今夜お時間とってくれませんか」と声をかけるのです。
実は、イベント期間内であっても、展示会終了後は時間に余裕がある企業が少なくありません。「日本の美味しいお店をご紹介するので」、「大人数でも構いませんよ」とお話しすれば、かなりの確率で食事をご一緒することができます。
こんな感じで、仲良くなりたいと思った企業の社長と会食に持ち込むのです。
いざ、会食
会食の席では、さまざまな質問をしながら、相手の話を真剣に聞くという姿勢を見せてください。可能であれば、英語を話せる美人スタッフを連れて行くとめちゃくちゃ効果的です。夏ならば浴衣姿だったりすると尚良いでしょう。海外企業の社長は喜びます。
もちろん、相手の商品やサービスをきちんと褒めるという基本は外してはいけません。さらには、日本のユーザー獲得のための注意点や日本での競合会社の情報など、相手が知りたい情報を積極的に教えてあげることも大事です。こうした姿勢が相手に自分を印象づけるうえで役立ちます。
ここからが山場!!
ここまでを実践すると、お目当ての企業とある程度の関係が構築されていることでしょう。しかし、それで満足してはいけません。最大の山場はここからです!
タイミングは、展示会最終日の終了1時間前です。その時間帯に、交流を深めた社長のブースを訪ねます。
ここではまず、配布サンプルや販売用商品をチェックします。そこでもし、サンプルや商品が大量に残っているようであれば、「値引きしてくれるなら、全部引き取ってあげますよ」と話を持ちかけるのです。そして、「そのかわりに、あなたの商品やサービスを日本で展開する際の独占販売権を全ていただけませんか」と続けます。
ここが一番大事なポイントです!
海外企業にとって、展示会で残った荷物を本国まで持ち帰るのは、よほど高価なものでない限り割に合いません。海外に送付するとしても、運送費用がなかなかバカにならない額になります。ですから、これからの残った商品を全て引き取ってくれるという申し出は、相手にとって"願ったり叶ったり"の場合が多いのです。
もちろん、あなたにとっても、あらかじめ目を付けていた企業の商品が割引価格で手に入るわけですから、双方にとって幸せな提案と言えるでしょう。
私がコンサルティングをさせていただいている企業の何社かは、実はこの方法で、ほとんどお金を使わず日本国内での独占販売を獲得しております。
この手法のメリット
さらに申し上げると、このやり方には強烈なメリットが2点あります。
1点目は、この海外企業が今回の展示会などで獲得した顧客リストを引継げること。独占販売権を獲得することで、その海外企業が獲得した国内クライアントをそのまま全て、自分のクライアントにしてビジネスをスタートできるのです。
2点目は、お金をほとんどかけずに日本での独占販売権を獲得できること。通常、日本国内での独占販売権を獲得しようとすれば、大量ロットでの商品購入を勧められますが、この手法ではそのような必要もなくなる場合がほとんどです。
震災直後は、展示会や大型企業イベント、コンベンションが少なくなりました。しかし、最近では、中止/延期されていた企業イベントが少しずつ復活しはじめ、一時的に激減していた海外企業のイベント参加も増えてきています。
今回の海外人脈構築法はとても有効ですので、ぜひ試してみてください。