iPhoneは電話というより、いつでもネットにつながる小さなコンピュータなので、我々英語学習者にとっては、いつでもどこでも英語教材や英語サイトにアクセスできる魔法の箱だ。Safariというブラウザを使ってWebサイトを普通にアクセスできるし、iPodも入っているので英語素材のコンテンツを聞いたりできる。すごいおもちゃを手にした気分だ。

しかしiPhoneの実力を最大限に発揮するためには、iPhoneアプリを活用しなければならない。iPhoneアプリとはiTunesからダウンロードするiPhone専用のアプリケーションのことで、無料のものと有料のものがある。

このiPhoneアプリ、数が尋常ではないほどあり、どんなアプリがあるのかさえわかりにくい。iPhoneアプリはiTunesのApp Storeからダウンロードするのだが、このページの作りが悪く、たとえば英語学習関連のアプリを探そうにもどう探せばいいのかわからない。

英語学習本としてもiPhoneアプリ本としても非常にすぐれた本。お買い得です!

こういう迷える子羊への強い味方になるのが、今回紹介する本『iPhone英語勉強法 スキマ時間で英語力を上げる55の技』だ。著者はTOEICテスト満点英語習得コーチの松本秀幸氏。

この本は英語学習者のためのiPhoneアプリとその活用法を現時点で網羅しているのではないかと思えるほど内容が充実している。私もiPhone初心者なので、こんなアプリがあったのかと猿のようにダウンロードをしまくった。それも無料アプリが多いのでいっさいの追加料金はかからずに、だ。

そもそもiPhoneがなぜ英語学習に適しているかというと本書では、すきま時間を有効に使えるとしている。最低1分あれば勉強に当てられるという。

すきま時間の活用はこれまでも、忙しい社会人の英語学習法として推奨されてきた。ペーパーバックを通勤電車で読むとか、テキストの該当ページだけ破って持ち歩くとか、MP3プレーヤーで通勤中に英語を聞くとか、そういう涙ぐましいことをしている人もこれまでたくさんいた。

iPhoneにより、これらの作業効率は著しく向上する。ペーパーバックは電子書籍として読めるし、紙のテキストは写真にとってiPhoneで持ち運べるし、もちろんiPodも付いているし。ホント、これ1台でいろいろなことができてしまうのだ。

だから、これまですきま時間を活用してきた人はぜひiPhoneを買うと良い。その素晴らしい体験に必ずや感動するだろう。

本書ではReading、Listening、Writing、Speaking、Learningのセクションでおすすめアプリの紹介をしてある。私がぐっときたアプリを紹介していこう。

Reading

読むというのがiPhoneでは最も活用するシーンだろう。PDFやOffice文書をiPhoneで読むためのGoodReaderがおすすめされている。GoodReaderはPDFを読むときに特に威力を発揮する。A4サイズのPDFはPCでも読みにくいのだが、PDFからテキストデータを抽出して表示するreflow機能を使うと楽にPDFを読むことができる。

このようなPDFはそのままではiPhoneでは読みにくい

PDFからテキストを抽出するとこの通り、読みやすくなる

私が今最も感動しているのは電子ブックのKindleだ。Amazon.comから洋書の電子版を買ってiPhoneで読めるのだが、実際の本の一部分(といってもかなりの量)をお試しで読むことができるのがすばらしい。本物の英語で多読に挑戦してみるのも良いだろう。

KindleからAmazon.comにアクセスし、Try a Sampleをクリックするとサンプルがゲットできる

サンプル本をダウンロードできた

サンプルといっても結構なページがある

また、Stanzaというアプリは著作権切れの無料の英語の本をいくらでもダウンロードして読むことができる。

Stanzaからさまざまな無料の電子書籍をダウンロードできる

本書にはほかにも、英語ニュースサイトやブログをiPhoneで大量に読む方法について書かれてあるので参考にしてほしい。

Listening

基本的にはPodcastから英語のものを選ぶことになるのだが、私にぐっときたのがオーディオブック。なかなか耳から聞いても理解できないのではないかなあとも思うのだが、著作権切れの作品をボランティアが吹き込んだ無料版のAudiobooksというアプリをまずは試してみてほしい。もちろん最新作をお金を出して買うこともできるサイトもある。

Audiobooksはさまざまな方法で無料オーディオブックを検索することができる

Audiobooksの再生画面

Writing

TwitterやEvernoteで英語日記、アメブロで英語ブログ、Lang-8やFacebookなどの現在の定番が紹介されている。ここでぐっときたのは英語日記の効用についての箇所。自分の日常生活を説明することができれば、つまり日記に書くようなことをペラペラとしゃべれれば日常英会話はペラペラ、というところだった。前回紹介した『iPad英語学習法』とも相通じるものがあるなあ。

Speaking

発音訓練用アプリや、決まり文句を覚えるアプリの紹介があるが、どこまで効果があるのかはわからない。Skypeでの英会話レッスンも自宅のPCでやったほうが落ちついてできるに決まっているが、会社の会議室で早朝に行っている人もいるようなので、そういう意味でもiPhoneは便利だ。

Learning

ここでは辞書とか単語を覚えるアプリの紹介がしてある。私が注目したのは百科事典ウィキペディアのアプリであるWikipanion。これで興味ある言葉を英語版で読んでいくと楽しい。

WikipanionでiPhone 4を検索した。興味ある対象を英語で読むのは楽しい

まとめ - 本書のおかげでiPhone 4なしの生活はもう無理かも…

以上、私がぐっと来たアプリを紹介したが、これ以外にも多くのiPhoneアプリが掲載されているので、iPhoneをお持ちの英語学習者はぜひ読んでみることをおすすめする。iPhoneが手放せなくなること間違いなし! である。

著者紹介

本多義則 (Yoshinori Honda)

日立製作所勤務のIT系研究者。10年前に趣味と実益を兼ねて英語学習を再開以来、アナログからデジタルまであらゆるツールを駆使して英語学習に励んでいる。職場では「英語ができる男」と見られているが、実はそうでもない真の実力との差を埋めるべく、英語学習をやめられなくなっている。休みの日の朝は英語のメルマガ執筆にいそしむのが習慣。取得した英語関連の資格は、英検1級、TOEIC955(瞬間最大風速)、通訳案内士(英語)。座右の銘は「あきらめない限り必ず伸びる」。著書に『伸ばしたい!英語力―あきらめない限り必ず伸びる』。Twitterアカウントはこちら