前回はスカイトークというオンライン英会話スクールの体験記を紹介したが、今回は実際にどのようなレッスンを私がしているのかについて話そう。
スカイトークのレッスンの方法は大きく分けて、教材を使う方法と、フリートークの2種類がある。
教材のほうはオンラインのESLの教材を無料で使うことができる。英会話の初心者はこちらがよいだろう。先生があなたのレベルを判定して、適切な教材を使ってくれるので心配はない。
文法とか語彙はだいたいわかっているからスピーキングを練習したいという私のような人は、フリートークがおすすめだ。
フリートークはその名の通り、何をしゃべるかは自由。その日の出来事をしゃべり始めて、話を発展させるのが基本だ。その日に特別なことがあればそれを話題にすればいいが、毎日そうそう話題があるものでもない。
私はそういうときはESL教材をやってお茶を濁すことが多い。あるいはESL教材をやり始めて、その内容からフリートークにもっていくこともある。
あるいは、自分の興味のあるWebの英文記事を読んでおいて、そのリンクを送って話題にすることもある。
スカイトーク自身もそういう一般的なニュースのマテリアルを用意しているのでそれを使うのも手だ。
私はたまにふだん使っているテキストの写真を取り、画像データを送って質問したこともある。リンクやデータの送信はSkypeのチャットやファイル転送の機能を使えば簡単にできる。
さまざまなやり方はあるものの、毎日フリートークの話題を見つけるのは私にとっては目下の課題だ。毎日IT関連の英語記事でも読んで、フリートークに備えておくのがあるべき姿なんだろうけど。
先日、その日の出来事から話がいろいろと膨らむというフリートークのお手本のような会話ができたので、録音データから文字を書き起こしてみよう。前回話したように、オンライン英会話がいかにモチベーション向上につながるかがわかるはずだ。
ある日のスカイトーク
先生: Hello, good eveing Yoshi-san.
私: Good evening.
先生: How are you?
私: Fine, thank you.
ここまでは決まりきった表現で毎回変わらない。How are you?に対して、あまり変わったことは言わないほうがいいだろう。
先生: That's good. How's work?(仕事はどう?)
私: A little bit busy. In the morning I went to the government office in central tokyo. (今日はちょっと急がしかった。午前中は東京の某お役所に行ったよ)
英語の誤りはご愛嬌。録音したものをそのままタイプしているので私の発言は間違っているところだらけだ。先生の発言は逆に聞き取れなかったところもある。この後、政府主導の技術開発の話になった。
先生: You know what, I've noticed why the Japanese love technologies that much? (日本人はどうして技術がそんなに好きなのかしら?)
私: Because We don't have any natural resources in Japan. So we have to export goods to foreign countries and get money. That is only way to survive for Japan. (日本は天然資源がないので物を輸出してお金を稼ぐしかない。それが日本の生きる道さ)
先生: Oh, I see. You don't have other things like, you know, fruits or vegitables that you can export or all you can do is like make electronic stuff right? (日本は果物とか野菜がないので、電気製品を輸出するしかないのね?)
私: Yeah.(まあね)
先生: OK, now I know I get the point.(そういうことね)
私: Speaking of natural resources, in Japan we have a big problem about cow. (天然資源といえば、日本では最近、牛の問題が起きているよ)
野菜から肉を発想し、口蹄疫の話題に展開しようとしたのだが、ここからが苦しかった。
先生: Why, what's wrong with cows there? (何? 牛がどうしたの?)
私: We have big disease... (大きな病気が…)
先生: Cow disease? (牛の病気?)
私: Yes, cow and pig. (そう、牛と豚の)
ここで「cowは乳牛ではなかっただろうか、一般的な牛は何というのだろうか……」と頭を回転させるが出てこない。
先生: What do you call that? I forgot that. We have here... (何て言うんだっけ? 忘れちゃった。こっちでもあるけど)
私: Foot and mouth disease. In Miyazaki prefecture, which is in the southern island of Kyushu, most of the cow have to be killed because more than one hundred thousand or two hundred thousand cows or ox are killed. (口蹄疫。宮崎県ではほとんどの牛は殺さないといけない。というもの10万や20万頭の牛が……殺されたから)
後半、文章が意味を成していない。最後のkilledはinfected(感染した)と言いたかったのだが、録音を聞いて唖然とするばかり。
先生: Oh, that's a shame. So apparently you're gonna get your meat from abroad this time and it's gonna cost much money, right? (それは残念。そうすると肉を輸入しなければいけないのでお金がかかるわね)
ここは実は聞き取れなかったのだが、勝手に話を進めた。
私: And I heard that there is a special cow among cows. Those cows are.. what should I say... very good cows or ox and so they are the source of ... they are parents, no, no, they are father of many many cows.(聞いたところでは、牛の中には特別な牛がいて、その牛は…何と言えばよいのか……とても良い牛なので、ある源になるのだけど……の牛は両親、いやいや、多くの牛の父親なんだけど)
ここは「種牛」のことを言いたかったのだが……。
先生: Oh, you're meaing to say they're the breeders, right? (畜種家(ブリーダー)のことね?)
私: Breeders! right! (そう、ブリーダー!)
種牛とはちょっと違うが、まあブリーダーでいいことにしようと思った自分がいた……。
先生: There is one who breed those plenty of cows, right? (多くの牛を育てる人がいるわね)
ここまでが最初の4分間の会話である。この後、日本人は種牛がなくなることを心配していると言うと、先生が肉は輸入すればよいのではと言うので、日本人は上質な和牛が好きなのだと返した。フィリピンでは口蹄疫はいつも起こっているとも聞き、ちょっと驚いた。さらに肉がないなら魚を食べればよいとか、さらにはカニバリズム(食人風習)の話へ飛び、実話や映画の話が続いた。
25分間のレッスン終了後、口蹄疫について調べてみた。「Foot-and-mouth disease is a serious and highly infectious disease that affects cattle, sheep, pigs, and goats. (コウビルド英英辞典)」とあり、あぁ、牛の総称はcattleだったか! と思った次第である。
また、英字新聞のサイトで口蹄疫の記事を読んでみると、自分の言いたかったことが英語で書かれてあり、まさに表現の宝の山のように思えた。livestock(家畜)、outbreak(大発生)など関連語を次回は使ってみたいと思った。これらは知っている単語だが、会話のときは思いもつかなかった。そうそう、種牛はstud bullだって。あと牛を殺す場合はkillよりslaughterがいいみたい。
スカイトークで上のような会話をして、言いたいことを何とか言おうと苦しむ中で、違う言葉で説明しようとするのも良い訓練だと思う。
たとえうまく話せなかったとしても、レッスンの後でWebでちょっと検索すれば正しい表現が見つかるので、そこから学ぶことができるというわけだ。
今までつまらないと思えた英文記事がすごく魅力のある記事に見えてしまう。これが私の言うオンライン英会話によるモチベーション向上である。
英語圏で生活する中で、体当たりで英語を学ぶというのはこういうことの繰り返しなのかもしれない。
今回、先生の発言をディクテーションしてみて、実はこんなことをしゃべっていたのかと新たな発見があった。話半分に聞いて適当に話を進めていた私だった。毎回はディクテーションはできないが、たまにはやってみても良いかもしれない。
著者紹介
本多義則 (Yoshinori Honda)
日立製作所勤務のIT系研究者。10年前に趣味と実益を兼ねて英語学習を再開以来、アナログからデジタルまであらゆるツールを駆使して英語学習に励んでいる。職場では「英語ができる男」と見られているが、実はそうでもない真の実力との差を埋めるべく、英語学習をやめられなくなっている。休みの日の朝は英語のメルマガ執筆にいそしむのが習慣。取得した英語関連の資格は、英検1級、TOEIC955(瞬間最大風速)、通訳案内士(英語)。座右の銘は「あきらめない限り必ず伸びる」。著書に『伸ばしたい!英語力―あきらめない限り必ず伸びる』