さて、今回は前回に引き続き、スピーキング上達の道の"ステップ2"となる相互添削型SNSのLang-8の活用方法について紹介しよう。
自分に関する100の文章を書いて、それを正しい英語にするためにLang-8("ランゲート"と読む)を使ってみようというわけだ。
英作文というものは、なかなか自分自身では上達しないものだ。誰かに添削をしてもらわないと正しいのかどうか判断ができない。『村上式シンプル英語勉強法 』でも、村上さんは英作文についてはあきらめていて、正しい英文の文章を流用する「英借文」を薦めているくらいだ。
英語で日記を書いてみよう系の書籍をよく見かける。英語で日記を書いてみること自体は良いことだ。しかし、自分の英文が間違っている場合、誰かに直してもらいたいという気持ちはどうしても残る。
普通、英文の添削にはお金がかかるのだが、Lang-8はなぜ無料でできるのだろうか?
それは、日本語を学習したい外国人のために、我々も日本語の文章を添削してあげるからだ。お互いに自分の母国語を使って添削することが、相互添削型SNSと呼ばれるゆえんだ。
このサイトのビジネスモデルとしては広告が基本だが、プレミアム会員からの収入も目指している。プレミアム会員になると広告の非表示や、添削してもらいやすい表示がされるなどの特典がある。
では早速、Lang-8を使ってみよう。Lang-8のサイトに行き、トップページのLearn for Free!のオレンジのアイコンをクリックし、新規登録をしよう。
無事ログインできたら、日記を書くというところまでたどり着こう。言語フラグは英語を選択する。タイトルと本文に英語を自由に書こう。最初は本文は短め、数行でもよい。
次に公開範囲を設定する。ここはとりあえず「Lang-8のメンバー全員に公開」にしておけばよいだろう。そして確認画面を経て投稿完了だ。
後は、誰かが添削してくれるのを待つだけだ。今回、私はバンクーバーオリンピックのフィギュアスケートについて次のような文章を投稿してみた。
Vancouver Olympics
バンクーバーオリンピック
I'm enjoying watching Vancouver Olympics on TV.
バンクーバーオリンピックをテレビで楽しく見ています。
There was women's figure skating yesterday.
昨日、女子フィギュアスケートがありました。
Mao Asada and Kim Yu-na were two promising gold medalists.
浅田真央とキムヨナが金メダル候補でした。
And Kim Yu-na won!
結果はキムヨナが勝ちました。
Her skating seems perfect.
彼女のスケートは完璧です。
She has long arms and feet that made her skating elegant.
キムヨナの長い手足は彼女のスケーティングをエレガントに見せます。
Mao Asada did a good job but I was very sad when I found Mao Asada not to get gold medal.
真央ちゃんもがんばりましたが、金メダルを取れずに残念でした。
英文と日本語を交互に書いたが、英文のみでもかまわない。日本語も併記したほうが良いという意見が、Lang-8のユーザから聞かれるのでそうしてみた。
で、これに対する添削は5時間後にきた。
- 添削前: She has long arms and feet that made her skating elegant.
- 添削後: She has long arms and legs that made her skating elegant.
"手足"の足は、feetではなくlegsが正しいようだ。
- 添削前: Mao Asada did a good job but I was very sad when I found Mao Asada not to get gold medal.
- 添削後: Mao Asada did a good job, but I was very sad when I found out that Mao Asada did not get the gold medal.
添削前の文章は自信なしだったのだが、なるほどという英文に添削されている。添削してくれた人はネイティブではないようだ。
実際の添削の様子は色を使ってわかりやすく添削されるので、下の画像、またはオンライン上の画像を参照してほしい。
このように無料で添削してもらえるのがLang-8の素晴らしさなのだが、ぜひあなたも日本語を学ぶ外国人の日本語の文章を添削してあげよう。
実際、上で添削してくれた人は日本語を勉強中で、その人の日本語の添削を私はおこなったのだ。そのお返しという意味で私の英語を添削してもらえたのかもしれない。
Language Exchange(言語交換)という英語学習のシステムがある。お互いがそれぞれの言語の先生となり、教え合うというものだが、Lang-8はまさにライティングの分野での言語交換といえる。
ぜひ、こういう仕組みは我々も活用していきたい。
著者紹介
本多義則 (Yoshinori Honda)
日立製作所勤務のIT系研究者。10年前に趣味と実益を兼ねて英語学習を再開以来、アナログからデジタルまであらゆるツールを駆使して英語学習に励んでいる。職場では「英語ができる男」と見られているが、実はそうでもない真の実力との差を埋めるべく、英語学習をやめられなくなっている。休みの日の朝は英語のメルマガ執筆にいそしむのが習慣。取得した英語関連の資格は、英検1級、TOEIC955(瞬間最大風速)、通訳案内士(英語)。座右の銘は「あきらめない限り必ず伸びる」。著書に『伸ばしたい!英語力―あきらめない限り必ず伸びる』