仕事で英語を使う機会というものは突然やってくる --- これが私の持論だが、その言葉通り、その機会が突然やってきた。

先週、十数名の中国人若手社員が日本に研修にきた。私は自分の部の紹介を30分、マーケティングについて講義を75分するという2つの仕事を課せられた。本当は部の紹介は部長が行うはずなのだが、英語ができるとなまじ思われている私に当然のように部紹介の仕事がアサインされた。これぞ英語屋さんの本領発揮のしどころか。

まずは過去の英語スライドや、他の課に作成依頼した英語スライドを使って全体のスライドを完成させた。ここまではよしと。次にしゃべりの原稿の作成に入る。ここで思いだしたのが、昨年9月にベルリッツに取材に行った「ベルリッツ・ビジネス・プラス」のコースである。このコースは「来月初めてのプレゼンがあるんです。とりあえず、どうすればいいんでしょうか?」という人でもとりあえず英語でプレゼンができるようになるというものだった。

ベルリッツで学んだことは、プレゼンテーションには型があるということで、それは開始(Opening)、本文(Body)、結び(Closing)、質疑応答(Q&A)の4つであること、さらに開始(Opening)は3つの部分 - Introduction(自己紹介)、Purpose(目的)、Outline(概要)から構成されるということだ。

これを活用しない手はない、ということで開始(Opening)の部分について、マイコミジャーナルの自分の過去記事を参考にしながら次のような原稿を書いた。

Good afternoon everyone. My name is Yoshinori Honda, and I am the senior researcher at 7th research department. ←Introduction

I'd like to spend the next 30 minutes explaining the activity of our department. ←Purpose

I've divided my talk into three parts. First, hogehoge, second, hogehoge, and finally, hogehoge. ←Outline

よしよし、開始(Opening)は順調だ。

しかーし、これ以降の、本文(Body)、結び(Closing)、質疑応答(Q&A)は、前回ベルリッツでは時間の都合で聞いていないのでやり方がわからないぞー(とほほ)。

仕方がないので、ここは自分の実力で原稿を作ったが、スライドの文字をそのまま原稿にしてしまうという、あまり良くない原稿になってしまった。もともと、スライドにかなりの分量の説明文が書かれていたので、この説明文と違う文章を私がしゃべったら、私自身が混乱するということと、聴いている側も混乱するのではないかと思ったからだ(←若干、言い訳臭い)。

本当はスライドに手を加えればよいのだが、その手間をかける時間もなかったので今回はこれで乗り切るしかない。

ところで、ベルリッツの先生が言っていたのだが、応答(Q&A)では英語で質問をされた場合の答え方にも型があるらしい。まず、

  1. 質問の内容を確認し
  2. 次に、質問に答えて
  3. 最後に、質問の回答になっているかを確認する

という、3段階だったと思う。

とにかく、最初に質問内容をリピートするなりして、内容を確認するという点が重要だ。これは英語に限らない話なので、日本語でのプレゼンでも使いたいものである。

最後の質問の回答の確認については「ご質問のお答えになっていますでしょうか」などという日本人を皆さんもよく見かけると思う。

そんなわけで、自部署の紹介の当日を迎えた。開始(Opening)は、まあだいたいできたと思う。それ以降はスライドの棒読みになってしまい、反省……スライドを読みながら自分自身でいやになった……。

そもそももともとのスライドの文字が多すぎるのだ。情報過多の「日本式」なのがよくない。どうして私たちはPowerPointにあんなに文字を詰め込んでしまうのだろう。プレゼンに使うと同時に配布資料(handout)であることを求められるのからか? あるいはしゃべりの内容をプレゼン資料に書いておくと、スライドを読めばいいので楽ができるということか?

社内で使用するスライドの場合は会社ごとに作法があるので勝手なことはできないかもしれない。しかし社外向けに英語でプレゼンをする場合のスライドは、海外風にシンプルにしたいものである。ここはシンプルなプレゼン資料を目指すという「プレゼンテーションZen」を学んでみるのもひとつの手だろう。

次回は、もうひとつのタスクであるマーケティングの講義を振り返る。

著者紹介

本多義則 (Yoshinori Honda)

日立製作所勤務のIT系研究者。10年前に趣味と実益を兼ねて英語学習を再開以来、アナログからデジタルまであらゆるツールを駆使して英語学習に励んでいる。職場では「英語ができる男」と見られているが、実はそうでもない真の実力との差を埋めるべく、英語学習をやめられなくなっている。休みの日の朝は英語のメルマガ執筆にいそしむのが習慣。取得した英語関連の資格は、英検1級、TOEIC955(瞬間最大風速)、通訳案内士(英語)。座右の銘は「あきらめない限り必ず伸びる」。著書に『伸ばしたい!英語力―あきらめない限り必ず伸びる