以前、本コラムでも紹介したが「900点台の受験者が50点以上上げるためにはTOEICの教材よりも英字新聞を読み、CNNなどを継続して聞くこと」とあったので、『CNN ENGLISH EXPRESS』を買っておいたのだが、ろくに読まずに放置していた。今回はこれ(2009年10月号)をすみからすみまで読んでみよう。
CNN ENGLISH EXPRESS(以下、EE)は、CNNと提携しているリスニング強化のための雑誌だ。定価は1,400円でCDも付いている。私は以前に一度買ったことがある程度だが、書店の英語コーナーではおなじみの英語関連雑誌である。
まずは5ページの「スペシャルインタビュー」。CNNトゥデイのアンカーのアンナ・コーレンさん。国仲涼子似の美人だ。エコの取材のため来日しているところを逆取材されている。声を聞くと意外と野太いので違和感が……。ジャーナリストになりたい人へのアドバイスとして、perseverance(粘り強さ)と答えている。英語の上達もこれかなと思う今日このごろ。
12ページの「DVDで楽しく学ぶ英会話」では「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」からお役立ちフレーズを紹介。
TIMEの広告をはさんで(定期購読のプレゼントは昔から変わらずミニ辞書セット)、読者の声のページ。EEで英検準1級に合格できた方の投稿など。
16ページは「本誌の特徴と使い方」の説明。EEは「ウォーミングアップ編」「実践編」「強化編」というレベル別の構成になっている。
まずは「ウォーミングアップ編」。18ページはリスニングの学習法として、サイトトランスレーション、略してサイトラと呼ばれる、英文を前から順番に訳していく同時通訳の手法の解説があり、これをリスニングのトレーニングに応用した「区切り聞き」が解説されている。本文の区切りのところにスラッシュを入れてあるので、サイトラがやりやすい。
「基礎トレーニング」として、「スペルミスの多い単語トップ10」「11歳で大学を卒業した天才児」という短いニュースを2つサイトラする。引き続き「NEWS DIGEST」として、「自由の女神が解禁」「30万ドルの駐車スペース」といった短い記事が10個続く。いずれの記事も興味深く読めるものばかり。
39ページの「リスニング・レッスン」では「欧州で広がる公共の場での禁煙」というニュースを使って穴あきを埋める問題を行う。
43ページは特集の「"86""IOU"って何のこと? ネイティブがよく使うのに日本人は意外と知らない英語」。いろいろな珍しい英語表現が50個ほど解説されている。ちなみに、86は「~を捨てる」という動詞だそうだ。
52ページは「圭子先生が読者を熱血コーチ!TOEICスコアアップ奮闘記」。さすがにEEではなく、TOEICの問題集を使っている。
54ページは「パックンのひとこと言いたい!」。あのパックンがおもしろニュースをご紹介。
ここで雑誌に中綴じされている別冊付録(40ページ分)が現れる。この中の「今月のEE検定」は今月のCDを使ったリスニングなどの200点満点のクイズだ。今月の重要表現集や単語集もまとまっている。
57ページからは第2段階の「実践編」となり、やや長いニュースが取り上げられている。草食系男子、マグロの乱獲、「飛行機恐怖症」克服セミナーなど5本。ここが本誌の中核部分か。マグロの乱獲では築地市場が"悪名高い"と形容されていてちょっと不思議。
83ページはCNN特集「月面着陸40周年 元アポロ乗組員に聞く「宇宙探査の未来」」という長めのインタビュー。
その後に、デイビット・セインさんによる「あなたの英文を赤字添削!ライティングにチャレンジ」。採用者は図書カードがもらえる。「金原瑞人の洋書事始メ」では今月は大人の女性のための2冊が紹介されている。
定期購読の宣伝ページをはさんで、96ページからいよいよ「強化編」。本誌の最難関レベルだ。CEOインタビューは「シルク・ドゥ・ソレイユCEOの経営術」、医療などを扱う「カッティング・エッジ」のページでは、音楽による癒し効果について。早口で有名な「アンダーソン・クーパー360°」では「人体を汚染する化学物質の恐怖」。ここまでたどり着ける人ははたしているのだろうか。
122ページは「この日本語、ネイティブなら何と言う?」。今月は、throw the book at someone(容赦なく最も厳しい罰則を科す)の解説。
プレゼントコーナーをはさんで、「今月の学習スケジュール」というカレンダーのような学習を記録するページに出くわす。このページにコツコツと記録できる人は、そりゃあ英語も上達するさ。最後はCNN東京特派員キョン・ラーさんによる「ボイス・レター」で締めくくり。
……とまあ、本誌は1カ月では終われないほどの量があるので、たまに買えばよいだろう。収録されているニュースはどれも面白いものが選ばれているため、楽しくリスニング学習ができるはずだ。完成度は高く、良質な教材といえる。
著者紹介
本多義則 (Yoshinori Honda)
日立製作所勤務のIT系研究者。10年前に趣味と実益を兼ねて英語学習を再開以来、アナログからデジタルまであらゆるツールを駆使して英語学習に励んでいる。職場では「英語ができる男」と見られているが、実はそうでもない真の実力との差を埋めるべく、英語学習をやめられなくなっている。休みの日の朝は英語のメルマガ執筆にいそしむのが習慣。取得した英語関連の資格は、英検1級、TOEIC955(瞬間最大風速)、通訳案内士(英語)。座右の銘は「あきらめない限り必ず伸びる」。著書に『伸ばしたい!英語力―あきらめない限り必ず伸びる』