今回の選書

「やりたいこと」が見つかる3つの習慣 人生を絶対に後悔しない(古川武士) 日本実業出版社

「やりたいこと」が見つかる3つの習慣 人生を絶対に後悔しない(古川武士) 日本実業出版社

選書サマリー

やりたいことが見つからない人は、自分で無意識のうちにブレーキをかけている人だ。「自分には無理」「親に言われた」「どうせ反対される」「考える時間と余裕がない」などのブレーキだ。

このブレーキがあると、せっかく自分の中でやりたいこと、たとえば、デザイナーになりたいなどが出てきても、その芽を自分で摘み取ってしまうのだ。

しかも、それをほとんど無意識に行っている。そのうちに自分の中で芽すら出ない状態になってしまう。

ブレーキをかける思考が当たり前のまま働いていれば、やりたいことが見つからないのは当然だ。

やりたいことは「考える」のでなく「感じる」ことで見つかる。自分が面白い、ワクワクすると感じたことを大切にして行動すれば、さらに感情が大きく動き、やりたいことが見つかるはずだ。

そして、どんどん情報も集まり、人とチャンスが引き寄せられてくるはずだ。このサイクルの中で「やりたいこと」を感じる心はどんどん敏感になる。

感じる感覚を、私は「WANT感性」と呼んでいる。これに対し、無意識のうちにブレーキをかけるのは「WANT不感症」とでも言うべきものだ。

「好きなことはあるが、得意なことではないから難しい」「自分より上手な人がたくさんいるから、どうせ無理だ」などだ。

こんな思考が頭の中であふれると「やりたいこと」を優先して感じることができず、ついには何をやりたいのか、自分でもわからなくなってしまうのだ。

「WANT感性」は磨くことができる。その方法として、4つのアプローチがある。

第1は「心のブレーキを外す」ことだ。「自分に自信がない」「他人の評価が怖い」などの「ブレーキ」は、WANT感性を鈍らせてしまう。

2つ目は「自分の欲求を知る」ことだ。「好きなこと」「ワクワクすること」の裏には、必ず欲求がある。欲求があるから、感情が動くのだ。

3番目は「行動すること」だ。「小説を書きたい」と思うなら、まず書いてみることだ。意外とつまらないかもしれないし、ワクワクするかもしれない。やってみれば、感情が反応するものだ。

4番目は「直感力を磨く」ことだ。普段、私たちの生活は「感じる」より「考える」ことが優位にある。合理的に考えて行動することを優先し続けると、「感じる」力が鈍くなっていくのだ。

WANT感性は、磨けば磨くほどに敏感になり、より多くのワクワクや、やりたいことを受信してくれる。そのためには、これら4つのアプローチをずっと繰り返すこと、習慣化することが有効だ。

やりたいことは、わりと直線的に見つかる場合もあるし、紆余曲折を経ながら、どんどんクリアになっていく場合もある。

どちらのケースも、いきなり神のお告げのようにメッセージが降りてきて、自分らしい生き方が見つかるわけではない。

自分の感覚を頼りに行動するうちにハッキリする、また、人との出会いから新しいヒントが得られるといった「必然と偶然の連鎖」を繰り返すものだ。

ただし、やりたいことを探す過程では「カオス」、すなわち混沌がつきものだ。カオスにいるときは辛い。人はわからない状態を嫌うからだ。しかし、ステップアップするには、カオスは避けられない。

また、やりたいことを探すプロセスは試行錯誤だ。そのプロセスを常に最適化していくことだ。これにより、好循環のサイクルに変わっていく。それまでは、カオスとともに過ごすことだ。

選書コメント

「やりたいこと」に出会えるかどうかは、人生を左右するほど重要なことです。本書は、それを見つけ、自分の人生を望ましい方向に導く方法を、わかりやすく教えてくれます。

「やりたいこと」は、自分のことですし、それを考えるのは楽しいはずです。ところが、意外にも自分の「やりたいこと」はわかりにくく、悩む人も少なくないようです。

本書は、そんな自分の「やりたいこ」と、を見つける方法や習慣を、教えてくれます。著者は、習慣化のプロで『「続ける」習慣』の著者、古川武士さんです。

本書は「やりたいこと」の発見とその実現に特化しているため、解説は、きわめて細かく、微に入り細に入ります。特に、著者は習慣化のプロですから、習慣化への落とし込みが丁寧です。

単なる個人の体験談ではありません。きわめて体系的、合理的にまとめられています。実際に、多くの人が実践し、成果を上げた、再現性のあるメソッドです。

具体的には、見つけ方の方法として、まず「欲求の地図」を描き、続いて「WANTリスト」を作るという手順で進めます。それを手助けするフレームワークも提供されます。

次に、それを行動に移すために身に着けたい習慣も教えてくれます。さらに、心の奥底にある本音を導いたり、決断を正しいものにするために直観を磨きます。それを可能にする習慣も教えてくれます。

これから仕事を始める人、転職や起業を考える人で「やりたいことが見つからない」と悩む方は少なくないとお思います。そういう方にぜひお読みいただきたい一冊です。

選者紹介

藤井孝一

経営コンサルタント。週末起業フォーラム代表。株式会社アンテレクト代表取締役

1966年千葉県生まれ。株式会社アンテレクト代表取締役。経営者や起業家という枠にとどまらず、ビジネスパーソン全般の知識武装のお手伝いを行うべく、著作やメールマガジン、講演会、DVDなど数々の媒体を活用した情報発信を続けている。著書にベストセラーとなった『週末起業』(筑摩書房)はじめ、『かき氷の魔法』(幻冬舎)、『情報起業』(フォレスト出版)など。

この記事は藤井孝一氏が運営するビジネス書を読みこなすビジネスパーソンの情報サイト「ビジネス選書&サマリー」」の過去記事を抜粋し、適宜加筆・修正を行って転載しています。