RightScaleが先頃発表した『State of Cloud Adoption』(調査の最新版は、誰にとっても予想通りの内容だったのではないでしょうか。内容としては、ストレージインフラ会社のAvere Systemsが昨年の夏に独自に実施した調査結果とまったく同じであり、「ハイブリッド構成は今後もITの主流になる」ことを結論付けています。

現在、大部分の企業が何らかの形でクラウドへの移行を進めています。調査によると、93%が少なくとも1つのプロジェクトにクラウドを活用しています。また、このような企業の中には経営幹部主導でクラウドへの移行が推進されています。これは、驚くには値しません。ところがハイブリッドとなると、とたんに状況がよくわからなくなってしまいます。

今月のフレーバー

アイスクリームを例にあげると、バニラは常に人気の高いフレーバーです。IICA(国際アイスクリーム協会)によると、およそ50%の人がバニラを好きなフレーバーとして挙げています。これをクラウドの世界に例えると、Amazon Web Serviceは依然として1番人気の「フレーバー」であり、57%のシェアを誇ります。その理由は何でしょうか。おいしさや機能の良さ、または歴史があるからでしょうか。バニラは最初に登場したアイスクリームの「フレーバー」なので歴史があります。またAWSは、大々的な宣伝活動を行った最初のパブリッククラウドでした。

シェア第1位のバニラもAWSも、フレーバーやサービスを排除してしまうことはありません。チョコレートとストロベリーも人気のフレーバーです。Azureはシェアを12%に拡大し、わずか1年で倍増しています。これは、ビジネス環境でMicrosoftの人気の高さを反映したものでしょう。また、Googleにも存在感があります。明確な数値はわかりませんがAzureと同等のシェアを占めています。

プライベートクラウドも同様の牽引力を発揮しています。実際、この調査に回答した1,000人のITプロフェッショナルのうち、50%を超える人がvSphereを使用していました。

この調査では、「標準化されている企業はわずかであり、ほとんどは複数のクラウドサービスの機能に魅力を感じている」ということが明らかになりました。つまり企業は、クラウドサービスをよく吟味し、クラウドに移行するアプリケーションに合ったクラウドサービスを選定しようとしています。

基本的なフレーバーに複数のトッピング

RightScaleの調査では、昨年行われたAvereの意外な調査結果が浮き彫りになっています。つまり、ハイブリッド構成が存続しているだけでなく、人気も高まっているのです。これは、段階的なクラウド導入がもたらした結果ではなく、中小から大手まであらゆる規模の企業に当てはまります。

企業は、クラウド、セキュリティ、自社インフラへの投資をじっくり検討し、オンプレミスに残すアプリケーションとクラウドに移行するアプリケーションを選定しています。既存のインフラを有効活用したい企業はプライベートクラウドを採用します。また、特にセキュリティの点で、ホスティング型のプライベートクラウドが注目を集めています。

このようなトレンドは、クラウドサービス、クラウドプロバイダ、オンプレミスインフラを組み合わせて採用するという企業の方向性を示しています。当初クラウドは、管理対象サービスとオンプレミスアプリケーションをすべて飲み込むと予想されていましたが、実際には、現実的なアプローチで導入が進みました。現在もクラウドには、セキュリティと情報流出、パブリッククラウドが機密情報収集の対象になるのではないかという懸念、ファイアウォールの外側では機密性や重要度の高いデータをコントロールできなくなるという不安など、さまざまな懸案事項が存在します。

要するに企業は、「インフラを管理するのはベンダではなく企業自身だ」ということに気付き、覚悟を決めたのです。

多彩なフレーバー - 重要なのは「何を選択するか」

ベンダ各社が提供するアイスクリームのフレーバーは、各企業によるクラウドへのアプローチを反映しています。たとえば、バニラとロッキーロードを1つずつ注文できる場合に、バニラを2つ注文する人はどのくらいいるでしょうか。ここで明らかなのは、利用料金は選択基準ではない、ということです。企業は宣伝文句に惑わされることなく、クラウドが真のメリットを発揮できる領域を調査し、インフラを最適な状態に調整するためにさまざまなサービスを組み合わせようとしています。

このようなニーズを把握し、プラットフォームを「差別化要因というよりはデリバリ手段」と位置付けるベンダは、この新しい環境で成功を収める可能性が高くなります。もはや、クラウドを提供するかどうかが問題なのではなく、どのような方法で提供するか、どのベンダのクラウドをサポートするか、どのようなオプションを提供できるのか、が重要です。また、オンプレミスのインフラがクラウド戦略と共存することが当たり前になるので、相互にデメリットとならないソリューションを提供しなければなりません。

このブログの読者であれば、バラクーダネットワークスのソリューションはこのような要件を基盤に設計されていることがおわかりでしょう。ストレージ、バックアップ、アーカイブを行うクラウドオプションを求めている企業に、バラクーダネットワークスが提供する幅広いソリューションをお勧めします。特に、オンプレミスと仮想およびクラウドのソリューションを組み合わせて活用したいお客様には最適なソリューションです。

※本内容はBarracuda Product Blog 2015年3月12日Like ice cream, there are many flavors to cloudを翻訳したものです。

Rich Turner

本稿は、バラクーダネットワークスのWebサイトに掲載されている『バラクーダラボ』3月26日付の記事の転載です。