お客様から、「情報管理と情報ガバナンスの違いは何か?」という質問をよくされます。どちらが必要なのでしょうか。それとも、両方必要なのでしょうか。今日は、この2つの概念について詳しく解説しましょう。
情報ガバナンスとは、組織の情報をビジネス資産として管理する方法を示す構造、ポリシー、コントロール、メトリックを組み合わせたものです。
これに対して情報管理とは、企業内に存在する情報の体系化、検索、取得、保護、保守を行うために企業が実行する作業やタスクを指します。
情報ガバナンスは、情報管理の指針となる戦略として位置付けることができます。つまり、どのような情報をどのような理由で管理する必要があるのかを規定します。対して情報管理は、情報管理の戦術であり、管理する方法を規定します。
ガバナンスなしで管理は可能か?
ITプロジェクトは、その大部分が情報管理に関連しています。容量管理、古いデータの削除、情報公開請求など、情報管理プロジェクトにはさまざまな種類があり、多数実施されています。
このようなITプロジェクトの価値は、具体的な状況や要件に対応するニーズに基づいて評価されます。コンプライアンスデータの自動キャプチャなどのプロアクティブな戦略でさえ、将来的な調査や監査への対応というニーズに備えたものです。
どのような企業でもビジネスや技術的なニーズへの対応が求められるので、このようなプロジェクトやタスクの大部分は、全社的な情報ガバナンス戦略が存在しない企業でも実施されます。また、独立した情報管理プロジェクトは、IT組織での運用要件と戦略的な方向性のバランスを考慮して実施され、全社的な情報ガバナンスとはまったく関連性がない場合もあります。
このように、特定のニーズと要件に基づいてITプロジェクトを管理しようとすれば、情報ガバナンスは必要ないと言えるかもしれません。いずれにしても、プロジェクトには戦略があり、それぞれのプロジェクトには正当な根拠が必ず存在します。なければ、そもそも承認されないのですから。
情報ガバナンスをプロセスに組み込むには
一般的に、「情報ガバナンスの実施は難しい」と考えられています。情報ガバナンスを実施するには、企業はデータを情報として管理するアプローチを見直す必要がありますが、これによって、データを扱う職務や部署すべてに影響が及ぶ可能性があります。組織は、情報にどのような「価値」を見出し、情報を管理ポリシー/プロセスとどのように関連付けるかという課題に常に取り組んできました。
確固たる情報ガバナンスがあれば、全社的な情報管理戦略に必要なフレームワークを確立できます。そして、さまざまなITプロジェクトで一貫したプロセス/戦略を適用し、一貫したアプローチでの情報管理が可能になります。
さらには、コスト削減、より良い成果、リスク軽減、企業情報の有効活用へとつながります。
トップダウンかボトムアップか
情報ガバナンスの実施方法には、「トップダウン」と「ボトムアップ」のアプローチがあります。
ブログでは今後2回に分けて、それぞれのアプローチの長所と短所、アプローチを採用する根拠を紹介していきます。
※本内容はBarracuda Product Blog 2014年11月3日Information Management or Information Governance?を翻訳したものです。
Peter Mullens
本稿は、バラクーダネットワークスのWebサイトに掲載されている『バラクーダラボ』12月4日付の記事の転載です。