最近の調査では、企業のノートPCの10台に1台が使用期間中のどこかの時点で盗難に遭うといった報告がなされています。企業の89%がこれに影響を受け、そのうち56%はデータ侵害の被害を受けるとのことです。これらの数字は憂慮すべきものですが、多くのITプロフェッショナルはすでにノートPCの盗難に対して警戒心を非常に強めています。モバイルコンピュータの盗難を防ぐにはロックや暗号化、およびその他の手法がありますが、スマートフォンを盗難から守る手段はいまだ確立されていません。
職場におけるスマートフォンの重要性についてはここでも何度か述べました。ユーザは端末に、メールや連絡先、eコマースの支払い情報やネットバンキング、ネットショッピングなどのブックマーク、そして機密性の高いドキュメントを保存しています。他人のスマートフォンを手に入れさえすれば、中にある情報を元におそらく完全な個人プロフィールを作成することができるでしょう。
個人情報の盗用は確かに深刻な問題ですが、このことがスマートフォンの窃盗を後押ししているわけではありません。スマートフォン自体が犯罪者にとって魅力的なのです。スマートフォンはひったくれば盗めてしまいますし、隠すのも売るのも簡単です。またスマートフォンは価値が下がりにくく、世界中で需要が増え続けています。
Consumer Reportsによると、全米の窃盗犯罪のうち30%から40%が携帯電話に関わるものです。サンフランシスコでは全ての強盗事件の半分を占め、またニューヨークでは過去1年間で携帯電話の窃盗が40%増えたと報告されています。
「モバイル端末の窃盗を含めた暴力的な路上犯罪の横行は現実の問題であり、アメリカ全体のあらゆるコミュニティにとってその脅威は増大していると言えます」と、ニューヨーク州の司法長官であるエリック・シュナイダーマン(Eric T. Schneiderman)氏は述べています。「報告によると、全米で毎分およそ113台のスマートフォンが盗まれるか紛失するかしており、多くの窃盗が暴力的なものになっています。」
シュナイダーマン氏は、サンフランシスコの地方検事であるジョージ・ガスコーニュ(George Gascón)氏とともに、「私たちのスマートフォンを守る」と題した発議を行いました。このプロジェクトは、問題の認識を高め窃盗犯罪の根本的な原因を理解することを目指し、またスマートフォン業界に対して「犯罪者がスマートフォンを盗みたくなくなるような」工夫をするよう求めています。彼らは端末製造業者に対し、盗まれた端末を恒久的に使えなくする「キルスイッチ」を設けるよう依頼しています。また携帯キャリア側も、端末をアクティベートする前に照会する「盗難スマートフォンIMEIナンバー」のデータベース構築を行っています。
多くの企業がBYODや他のモバイル利用に関するポリシーを構築しようとしている現在、スマートフォンの窃盗被害の危険についても話し合う良いタイミングだと思います。実際に起きる可能性のある暴力的な窃盗から、ユーザがどのようにして身を守るか?彼らが盗まれた端末からのデータ漏えいを防ぐために手助けできることは何か?このような会話がなされてしかるべきです。
スマートフォンの盗難や紛失に対して対策をお持ちですか?
本稿は、バラクーダネットワークスのWebサイトに掲載されている『バラクーダラボ』8月7日付の記事の転載です。