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Intelという企業のビジネス

--ただIntelはネットワークとかワイヤレスとかモバイルとかいろいろな所に展開しても、結局は元のところに戻ってきてる気がします

それに関して言えば、僕自身はIntelの戦略はすごく腹落ちしてるんです。結局、最終的にはチップの製造能力・キャパシティマター(Capacity Matter)が競争力になるんですね。プロセス技術がこれだけ進んでくると、それに対応したファブを作れる会社も少なくなるわけじゃないですか。アーキテクチャで戦ってる時は、IAなのかArmなのかMotorola(Power)なのか、あるいはAMDなのかNVIDIAなのか、とかいろいろありましたが、結局IoTの世界で世界中のシリコンに対するニーズが増えていく中で、「誰がそのチップ実際に作るんですか?」という話になる。

そうなった時に、半導体の製造能力・チップを作れるファブのキャパシティを持ってないといけない。では「(ファウンドリ最大手の)TSMCだけで世界中で消費する半導体を全部賄えますか」というと、多分彼らのキャパシティだけだと賄えない。Intelも同じで、やはりIntelだけだと世界中の半導体は賄えない。でも数社、5本の指以内に入るキャパシティがあれば、世界の半導体は作れるということになる。ということは、アーキテクチャで競うくらいなら、キャパシティで競ったほうが本来の半導体ビジネスの戦い方としては戦略上アリかな、と思っています。

僕がまだIntelに居た頃も「私たちの戦略はキャパシティだ」と言っていたんですが、半導体屋のメンタリティからするとそれは間違いないな、という認識です。アーキテクチャ的な話をするとまったく異なる議論になるのですが、ウェハでマネタイズするという視点に立つと、ウェハを何枚投入して何枚出てきたのか、それだけの話になるわけです。

そうなると、ウェハを流せるキャパシティを有するファブを持ってる会社が世界中にどのくらい居るんでしょうか、という点が一番の競争のポイントになるわけです。Intelも随分Armコアの製品を作るようになって来た訳ですが、かつて半分暴言として「近い将来、QualcommのチップをIntelのファブで作ればいいじゃない」と言っていました(笑)。

携帯電話に搭載されるのがIntelのプロセッサが良いのか、Qualcommのプロセッサが良いのか、という話もありましたし、それ以前にArmが良いのか、IAが良いのか、といった議論もありましたが、結論から言えばファブのキャパシティさえ満たしてくれればどっちでも良い。ただIntelのファブはIAの、それもx86に特化されてるので、なかなか他のアーキテクチャを製造するのは難しかったと思っていたのですが、最近はTSMCのようにモジュール化が進んできたようで、そういう対応も可能になりつつあるようです。今後は多分そっちの方が圧倒的に世界の需要に対応できて、売り上げも伸びるんじゃないか、と見てますね。

将来的に、今のIntelの経営者層が決めることだと思いますが、Intelのファブで作っているアーキテクチャが、例えばIA 4割、Arm 6割といったことになるかもしれない。僕も昔、分析してみたことがありますが、Intelのアーキテクチャで取れるマーケットと、それ以外のアーキテクチャで取れるマーケットを見たとき、やはりIAだけで取れるマーケットには限界がある。そういう意味では、Intel CapitalがまさにLeapMindに投資したりしているのは、Intelアーキテクチャ以外の付加価値でローエンド市場を狙わないと、普通にやってたら市場が取れないという事を判っているからだと考えています。

イノベーションを自分たちだけで実現できるかと言うと、それも結構難しそうだ、ということも分かっている。だからオープンイノベーションということで、有望そうなメンバーをどんどん仲間として囲い込んで、例えば「LeapMindのアルゴリズムの入ったチップはIntelで製造しますよ」という方向にもっていく。Intelからすればどんなアルゴリズムでも実は良くて、Intelのファブでウェハを製造してマネタイズできれば黒字になる訳です、そういう仕組みをエコシステムとして作りたいんだろうな、と見えますし、そういった意味でLeapMindはすごく親和性のある会社かなという風には思ってますね。

--Intel自身もNarvanaを買収したりして、どんどんAIの方向に傾倒されてますね

すっぴんのマイクロプロセッサにいろいろな機能をつけて、よりマーケットに受け入れられやすい仕組み作りをして、でも結局それはIntelのファブで作らせて下さい、「Manufactured by Intel」にして下さい、というところでマネタイズしたい訳ですよ。そういう全体のエコシステムを構築中なんじゃないかと思いますね。

--つまりIntelはNarvanaとか、x86でもいいですが、チップを作る。で、その上でソフトを動かさなきゃいけない。そのソフトは誰に作らせよう、ということになってではLeapMindにお願いしよう。つまり宗像さんはまさにそれをやっている、というわけですね(笑)

まぁそう言ってしまうとアレですけどね(笑)

(次回は6月22日に掲載します)