無料でクラウドアプリが開発できるVisual Studio Community
今回は、Azureのサービス開始当初から提供されているAzureクラウドサービスの後編です。前回説明したように、AzureのPaaSであるクラウドサービスを使用すると、WebロールとWorkerロールで実行されるWebアプリケーションやサービスを開発してAzureにデプロイし、ステージング環境または本番環境で実行することができます。
以下のドキュメントにあるリンク先から、.NET、Node.js、PHP、またはPhytonアプリケーションの開発に必要なツールやSDKの入手方法から簡単なチュートリアルを参照することができます。.NETアプリケーションのチュートリアルは、完成したサンプルプロジェクトをダウンロードして使用するものになっています。
以下のドキュメントのリンク先から入手できるVisual Studio 2017(または2019年4月2日リリースの最新バージョン2019)を利用すれば、WindowsまたはmacOS上で.NET、Node.js、PHP、またはPhytonアプリケーションを開発することが可能です。
個人または最大5ユーザーまでの組織(企業を除く)の場合は、無料のVisual Studio Communityを利用することができます。つまり、完全に無料でクラウドアプリケーションの開発を体験することもできれば、無料/有料のクラウドアプリケーションを作成することもできます。
Azureなしでもエミュレーターでアプリを動かせる
Azureへのデプロイはもちろん課金対象になりますが、30日間の無料試用アカウントを使用することもできます(ストレージやSQLデータベースなどの一部のサービスについては、評価期間終了後も上限付きで12カ月無料使用が可能です)。また、Azure SDKにはローカルで動作するエミュレーターが付属しているため、Azureを利用できない場合でも、ビルドしたアプリケーションをエミュレーター(StorageおよびComputeエミュレーター)上で動かすことができます。
Azureの利用環境がある場合は、Visual Studioから直接発行してクラウドサービスにデプロイすることもできますし、パッケージ(サービス定義の.csdef、サービス構成の.cscfg、サービスパッケージの.cspkg)を作成してAzureポータルにアップロードしてクラウドサービスにデプロイすることもできます(画面3)。
Azureにアプリケーションをデプロイしたら、ステージング環境から本番環境への切り替えや、自動スケールの構成、AzureゲストOSファミリのアップグレード、デプロイを簡単に削除できることなどを試してみるとよいでしょう。また、クラウドサービスを使用してPaaSについての理解を深めたら、前回説明したようにAzureの他のPaaSサービスで代替可能かどうかを調べることをお勧めします。
例えば、「Azure App Service」なら、Azure Marketplaceから事前定義済みのアプリ(WordPressなど)の環境を簡単にデプロイすることができますし、Windows Serverベースだけでなく、Linuxベースのプラットフォームを選択することもできます。また、クラウドサービスが対応していない広範囲な言語と開発環境をサポートしています。
著者プロフィール
山市良
Web媒体、IT系雑誌、書籍を中心に執筆活動を行っているテクニカルフリーライター。主にマイクロソフトの製品やサービスの情報、新しいテクノロジを分かりやすく、正確に読者に伝えるとともに、利用現場で役立つ管理テクニックやトラブルシューティングを得意とする。2008年10月よりMicrosoft MVP - Cloud and Datacenter Management(旧カテゴリ: Hyper-V)を連続受賞。ブログはこちら。
主な著書・訳書
「インサイドWindows 第7版 上」(訳書、日経BP社、2018年)、「Windows Sysinternals徹底解説 改定新版」(訳書、日経BP社、2017年)、「Windows Server 2016テクノロジ入門 完全版」(日経BP社、2016年)、「Windows Server 2012 R2テクノロジ入門」(日経BP社、2014年)などがある。