前回の続きです。説明の文章自体は少なめなのですが、実際は過去2回分の作業に数時間を要しています。複製は本当に手間がかかります。私の場合、この待ち時間に睡眠をとったり、別の仕事をしたりして、時間を有効に使うようにしています。前回流し込んだシリコンが固まったらいよいよ次の作業にかかります。複製のため、もう片方の側のシリコン型を作っていきます。写真と解説を参考にしていただけると、嬉しいです。

周囲の枠を外して、余分なバリを取り除きます。複製のために、もう一度、前回とは反対側の片面にシリコンを流す時に、再度枠をつける時の下準備です

型をひっくり返して、慎重に粘土を剥がします。このとき、シリコンから原型が外れないように注意します

ここで原型に付着してしまったシリコンを丁寧に取り除きます

次にエナメルシンナーで余分な油分を拭き取ります

これでクリーニング完了です

複製用の型のもう一面を作る

ここから、もう一面の型作りに入ります。もう片方の面にシリコンを流すのですが、前回制作した片面もシリコン製です。シリコン同士の両面が接着してしまわないよう、先に作った型の接着面に離型済を塗っていきます。

細かいところは塗り残しがないように筆で、その他の部分はエアブラシで離型剤を塗ります。使い終わった筆は、直ちに洗浄しましょう。時間を置くと、離型剤が取りにくくなります

再び枠を組み、シリコンを流します。ほぼ前回と同じ作業です

細かいところまでシリコンが行き渡るように、丁寧に筆で原型にシリコンを塗ります。前回はエアブラシのエアでやりましたが、あえて今回は筆で行っています。エアでも筆でも目的と効果はほぼ同じです。ただし、筆の場合は、使用後すぐに筆をクリーニングする必用があります

これで、シリコンの流し込みは終了です。ふたたび、バリ取りをして、複製型の完成です

完成した型を分離していきます。この作業はとにかく慎重に行います

両面に開きます。綺麗な複製型ができました。このあと、型にできたバリを再び取り除きます

原型を型から外します。この作業は慎重に行いましょう

こんな感じで、両面分の複製型ができました。この作業で、原型の一部が壊れてしまう場合もありますが、複製には問題ありません

ついに複製用の型が完成しました。次回、これを元にして、ようやく複製作業へ入っていきます。

安藤賢司
バンダイ『S.I.C』シリーズなど、多数のハイエンドな玩具の原型を担当。「原型師がマスプロダクツ製品のパッケージに名前を刻まれる」という偉業を成し遂げ、「玩具原型」の認識を「作品」のレベルまで高めた。現在は『S.I.C』シリーズ最新作の原型を製作中。某ゲームのキャラクターデザインもやってます

次回、ついに安藤賢司の神造形が量産化される