フィギュアの脚の部分の造形を続けています。脚の形やモールドなどを整えたら、次は洋服の制作です。今回は、スカートの造形を進めていきます。

スカートの芯は、薄く伸ばし易く、伸ばした後も強度が出るエポキシパテ(今回はお馴染みのタミヤの黄色いパテ)で作ります。エポキシパテでは、A、B剤を練り合わるのですが、練った直後は柔らかすぎて薄く伸ばしにくいので、練った塊のまま少し時間を置いてから作業します。今回は、30分から40分、時間をとりました。これよる長い時間を空けると、伸ばし難く食いつきも悪くなってしまいます。エポキシパテを貼り付ける際に「タイトスカート」であることや、「動き」を意識して造形します。

エポキシパテで脚に合わせ、スカートの芯(下地)となる部分を造形

スカートの芯(下地)となる部分を造形したら、硬化を待ちます。硬化の後、この上にスカルピーでスカートをモールドします。「スカートの布地の脚に接する部分の厚み」はこのスケールでは、かなり薄くなるはずです。今回の造形では、下地の脚がそのままスカートのアウトラインになります。そのため、エポキシパテの不要部分を削ります。

太ももの外側部分は、エポキシパテが盛られていない

また、スカートの裾はエポパテの薄さをそのまま活かしたいので、スカルピーは盛りません。

とにかく布地をリアルに再現するために、厚さを抑えて造形

これで、スカートのモールド造形が終了です。この後、再び焼き固めていきます。今回のフィギュアのテーマは、「就職活動中の女の子」、「新入社員」といったイメージなので、フレッシュ感と着慣れない感を重視して造形しています。

スカートのシワは、実物や写真を参考にしていますが、そのまま取り入れるだけでなく、動きを感じさせるため、実際にはあり得ない嘘のシワも入れてあります。

こうしてスカートのモールドが完成

このシワのモールドを入れるコツとして、「身体の動きや流れをイメージしてシワを入れる」、「シワを入れない部分との緩急をつける」などがあります。実際の写真や、映像はもちろん参考になりますが、嘘に関しては、上手なイラストや漫画等の情報が大変役に立ちます。次回、さらに造形を進めていきたいと思います。

安藤賢司
バンダイ『S.I.C』シリーズなど、多数のハイエンドな玩具の原型を担当。「原型師がマスプロダクツ製品のパッケージに名前を刻まれる」という偉業を成し遂げ、「玩具原型」の認識を「作品」のレベルまで高めた。『S.I.C』シリーズ最新作の原型を常に製作中。アニメ『TIGER & BUNNY』のデザインにも参加

次回も現実を超えたリアルな造形表現を安藤が披露する!