前回、塗装のための表面処理を行いました。今回はいよいよ塗装を行います。まず、フィギュアの足の裏に直径3mmのアルミ線を差して、塗装時の持ち手にします。
着色を開始します。塗装では、最初にサーフェイサーやプライマーを塗布して下塗りするのが一般的ですが、僕の場合はあえて行いません。これは、つい下塗りしすぎて、フィギュア表面のモールドを潰してしまうことを避けるためです。僕の場合は、まず、全体にラッカー系のつや消し黒をエアブラシで吹きます。
その後全体を塗るのですが、手足、頭の白いところは、できるだけ避けます。一番明るい部分の下地の色が黒では都合が悪いからです。白い毛の部分には、つや消しの白を塗ります。
次に、白の部分とシャツをマスキングします。シャツの色は黒なので、折角の下塗りを生かしたいからです。マスキングには専用のテープを使っていますが、ポケットに突っ込んだ手の僅かに見える部分などには、「練り消しゴム」なんかも有効です
次に背広とズボンを塗ります。色自体は青っぽい印象ですが、劇中だとアンバーなエフェクトが掛かっているので、その様な色も乗っけます。さらに、順光で陰になる部分に、基本になる青より暗い色(今回は黒)を吹いていきます。
立体なのに影を塗るというのは不自然な行為ですが、より効果的にフィギュアを見せるための演出です。続いて細かな部分を筆塗りしていきます。
シャツの黒い部分の筆塗りで、これまでの塗装ではみ出した部分を修正しています。マスキングのはみ出しを直したり、部分的な修正の為の塗装をタッチアップと呼びます。ラッカー系の黒は、隠ぺい力が強いので、こういう使い方が効果的です。次の作業はエナメル系の塗料を使うので、ここで一度乾燥させます。完全に乾燥させる必要はありません。見た目が、つや消しになっていて「ほぼ乾いたなぁ」と感じるくらいで大丈夫です。
次に、エナメル系の塗料で墨入れします。凹モールドやスジ彫り部分に、少し希釈したエナメル塗料を、流すように塗ります。ちなみに、フィギュアの毛の部分はグレー系と茶系、洋服部分は濃いグレー系で、墨入れしています。
はみ出た部分を拭き取ります。最後にタバコを塗装して、瞳に色を置き、艶ありラッカーを塗って終了。今回、最後に瞳を塗ったには、「魂を入れる」ためではなく、全体をほぼつや消しで、瞳のみ艶有りにしたかったからです。これで、フィギュアの塗装は終了です。次回、このままでは淋しいので、ベースを制作してみたいと思います。
安藤賢司 |
次回、安藤がこのフィギュアを元に物語を感じさせるベースを制作