今回の取材の目的であるアリアン5ロケットの打ち上げは、前回お伝えしたように、無事に見ることができた。宇宙系のライターをやっている以上、仏領ギアナでの打ち上げを見るのは長年の夢であったので、念願が叶い、感慨もひとしおだ。しかし余韻に浸るまもなく、翌日もハードスケジュール。ツアー最終日には、なんと船旅が組まれていたのだ。
筆者はギアナ宇宙センターだけでなく、仏領ギアナそのものにも興味があった。一体どんな場所なのか? 同じ南米とはいえ、ブラジルやアルゼンチンなどに比べると、日本人にとってあまり馴染みは無く、情報も圧倒的に少ない。そこでここからは、地元の情報にフォーカスしてお伝えしたいと思う。ぶっちゃけ、単なる旅レポである。
ギアナ宇宙センターがあるクールーは、仏領ギアナ最大の街であるカイエンヌの北西、車で1時間ほどの距離にある。カイエンヌもそれほど大きな街ではないが、クールーはさらにこぢんまりとしている。宇宙センターに経済を大きく依存していると思われ、日本風に言うならば、アリアンスペースの城下町という表現になるだろう。
今回は2泊3日のツアーで非常にタイトなスケジュールだったため、市内を散策する時間はまったく取ることができなかったのだが、最終日に訪れた先が、クールーの代表的な観光地であるデビルズ島だ。
デビルズ島は、クールーの沖合15kmほどのところに浮かぶ小さな島。3つの小島が並んでおり、全体ではサリュー諸島という名称になるのだが、「デビルズ島」の方が名前の通りが良いので、ここではデビルズ島と呼ぶことにしよう。なお実際に行ったのは、正確にはデビルズ島の隣のロワイヤル島である。
ちょっと恐ろしい名前の通り、この島には悲しい歴史がある。この付近は潮流が速く、泳いで渡るのが難しいことから、長らく流刑島として利用されてきたのだ。島の中には、今も監獄の遺構が残っており、自由に見学できるようになっている。
とはいえ、そんな歴史さえ知らなければ、この島は楽園そのもの。筆者が島に滞在したのはわずか数時間であるが、その間だけでもいろいろな動物を見ることができた。
ツアーの最後のイベントとして、島のレストランで昼食会が開催された。打ち上げが無事に行われ、衛星側の関係者もほっと一息といったところだろう。いわゆる「打ち上げの打ち上げ」ということで、筆者も楽しいひとときを過ごすことができた。
そしてツアー参加者はバスで空港に向かい、夕刻の飛行機でパリに向けて出発……となるのだが、せっかく南米まで来て2泊3日で帰るのも勿体ないので、筆者は延泊。ここからは単独行動ということで、一人カイエンヌに向かうのであった……。