HPLベンチマークの実行は、165,120ノードを使用し、各ノード7.2TBのメモリを使い、93PFlop/sの性能を出している。これはピーク性能の125PFlop/sの74.15%の効率である。これはメニ―コアのシステムとしては悪くない性能である。HPLの実行時間は約3.7時間で、平均の消費電力は15.371MWである。
なお、消費電力はLINPACK実行時で15.371MWというと、1キャビネット当たり384kWである。TaihuLightスパコンの冷却は水冷で、イタリアのClimaveneta社のチラーを使い大量の低温の水を作っているので、全体としての熱の収支は良いとしても、 SW26010チップからどのようにしてチラーの冷水まで熱を運んでいるのであろうか? 2枚のカードの間に円筒形のようなものが写っている写真があるため、そこに冷水を流しているのかもしれない。
スパコンセンターの建設などを含めたこのスパコン開発にかかった費用は約2.7億ドルであるという。
TaihuLightスパコンは、前世代のチャンピオンの天河2号と比較すると2.75倍の性能で、3倍効率が高い。しかし、疎行列を解くHPCGを実行する場合にはピーク性能の0.3%の性能しか得られていない。これは、メモリの速度が遅く、インタコネクトの速度も比較的遅いというTaihuLightスパコンの弱点を示すものである。また、Tianhe-2と比較して計算性能は約3倍であるが、メモリが1.3PBしかない。これはTianhe-2の1.4PBよりもメモリ容量が少なく、高い演算性能と比べてメモリが弱いのは明らかである。
TaihuLightスパコンのソフトウェアスタックは図11のようになっている。超並列プログラムの作成にはOpenACCを使っている。このようなオープンソフトを使う事ができるので、かなり、助かっているはずである。