Oak Ridge国立研究所(ORNL)のスーパーコンピュータ(スパコン)「Jaguar」に替わって2010年11月のTop500で1位の座についたのは中国の国防科学技術大学(National University of Defense Technology:NUDT)が開発した「天河一号A(Tianhe-1A)」である。それまでTop500の1位は、米国が24回、日本が11回と米国と日本が占めていたのであるが、2010年11月の第36回Top500において、初めて中国が1位の座についた。

天河一号Aスパコンに至る道

天河一号の開発は2005年に開始され、最初に「FT-64(飛謄64)」プロセサを開発した。FT-64は64bit倍精度浮動小数演算で16GFlopsの積和演算性能を達成した。続いて初のPetaFlopsハイブリッドシステムの開発を開始し、2009年に「Tianhe-1(天河一号)」を完成させた。

天河一号は2個のXeon E5540/E5450 CPUと1個のATI(現在はAMDのグラフィックス部門となっている)のRadeon HD 4870 2GPUで構成された計算ノードを使い、この計算ノードを6250ノード使用するシステムであった。

計算ノード間の接続ネットワークはDDRのInfiniBand(1レーンあたり片側5Gbit/sの伝送速度)である。この天河一号スパコンの倍精度の浮動小数点演算のピーク性能は1206TFlopsで、Linpack性能は563.1TFlopsであった。

しかし、天津スパコンセンターは、より高い性能を要求し、NUDTは計算ノードのCPUとGPUをアップグレードし、InfiniBandをQDR相当にスピードアップし、計算ノード数を7168に増やした。

  • 天河一号A

    図1 天河一号Aが設置されている天津スパコンセンター (この連載の天河一号Aに関するすべて写真は鈴木淳也(Junya Suzuki)氏が現地にて撮影されたもので、同氏に許可を得て使用させて頂いているものである)

さらに、一部のノードにはFT-1000ストリームプロセサを追加した。このシステムは天河一号Aと呼ばれ、2010年11月のTop500で1位になる。

(次回は7月2日の掲載予定です)