NWTとTOP500
NWTは、1993年11月の第4回TOP500で140PEのマシンでHPL性能124.2GFlopsを達成して1位に躍り出た。1994年6月のTOP500ではSandia国立研究所のIntel製のXP/S140に抜かれたが、1994年11月のTOP500では170GFlopsに性能を上げ、XP/S140を抜いて1位を奪還した。
なお、1994年11月の登録データでは1993年11月の時とPE数は変わっておらず、性能向上はソフトウェアの改良によるものと思われる。そして、NWTは1995年11月まで、合計4回、TOP500の1位に輝いた。
NWTと富士通のVPPシリーズの関係性
富士通はNWTを商用化し、1992年2月にVPP500というスパコンを発表した。さらに、1995年2月にはCMOSロジックを使う1~4PEのVXシリーズと4~16PEのVPP300シリーズを発表した。
また、1996年3月には最大512PE構成ができるVPP700シリーズを発表した。これらのCMOSマシンは、単一PEのピーク演算性能が2.2GFlopsとVPP500の1.6GFlopsより高い性能であった。
これらのCMOS VPPを含めて1997年6月のTOP500リストにはNWTの流れを引くスパコンが34システムほど掲載されている。これらのマシンの導入先は日本とヨーロッパが多く、ヨーロッパの中期予報センター(ECMWF:European Centre for Medium Range Weather Forecasts)の予報業務を担うマシンとして導入され、その他のヨーロッパの研究所や大学でも導入された。
(次回は4月10日に掲載します)