Cray Researchの崩壊
Cray ResearchはCray-1の成功から、スーパーコンピュータのトップメーカーの地位を維持してきたが、スーパーコンピュータは不安定なビジネスであり、経営状態はそれほど良くはなかった。
しかも、1989年にベルリンの壁が崩壊し、1990年に当時の東ドイツが西ドイツに統合されて冷戦が終結すると、軍備予算が縮小され、スーパーコンピュータの市場も縮小してしまった。
苦戦しながらもビジネスを続けていたCray Researchもついに力尽きて、1996年にグラフィックスワークステーションの最大手のSilicon Graphicsに買収されることになった。そして、SV1というJ90の後継となるスパコンを作ることになる。
しかし、 Silicon Graphicsは2000年にはCray Research部門を売りに出し、Cray Researchは、スパコン会社のTera Computer社に買われることになった。吸収したのはTera社の方であるが、より知名度の高かったCrayを存続会社とし、現在のCray Incorporated社となる。Tera社はマルチスレッドスパコンを作っており、Tera社の開発したMTAがCrayの製品ラインに加わることになって今日に至っているのであるが、Silicon Graphicsに買収されて以降の製品ラインについては稿を改めて説明することにし、Crayの並列ベクタスパコンの話は、ここで区切りとする。
(次回は2月15日の掲載予定です)