Cray J90

Cray ResearchはT90と並行してJ90というマシンを開発した。J90はY-MP ELの後継マシンで、J90の最小モデルは22万5000ドル(T90の最小構成の1/10の価格)である。J90はCMOSロジックを使う空冷マシンで、クロックは100MHzであった。

しかし、システムとしては、最大8プロセサのJ98、最大16プロセサのJ916、最大32プロセサのJ932とT90と同じプロセサ数のシステムが提供され、演算性能では450MHzクロックのT90の1/4.5の性能を持っていた。

J90は最大50万ゲートの10種のASICを開発し、図1.65に示すように、1つのボードに4プロセサを搭載していた。したがって、32プロセサといってもボード8枚である。

  • Cray J90

    図1.65 Cray J90の4Vector/Scalerプロセサボード。アルミの放熱フィンが付いているのが最大50万ゲートのCMOS ASIC (出典:https://wikivisually.com/wiki/Cray_J90

そして、1997年にはスカラプロセサのクロックを200MHzに向上したJ90seモデルの提供が開始された。

(次回は2月1日に掲載します)