将来のメニ―コアチップのアーキテクチャ

2次元メッシュはコア数の増大に対してネットワーク直径の増加がコア数の平方根に比例し、リングと比較して緩やかであり、縦横のメッシュリンクの本数はコア数の平方根に比例して増える。しかし、2分バンド幅を一定に保とうとすれば、各リンクのビット幅か転送速度をコア数の平方根に比例して増やす必要がある。

図7.7 2次元メッシュネットアークとプロセサコアの消費電力の推移 (出典:Cool Chips 14でのIntelのShekhar Borkar氏の講演資料)

IntelのBorkar氏は、図7.7に示すように、一辺が20mmのチップで見ると、微細化に伴いプロセサコアの消費電力も増えていくが、それ以上に2次元メッシュネットワークの消費電力が急増してしまうという。

この解として、Borkar氏はコモンバスとメッシュのハイブリッドネットワークを推奨している。

図7.9 近距離はバス、長距離はメッシュを組み合わせるハイブリッドネットワーク (出典:Cool Chips 14でのIntelのSekhar Borkar氏の講演資料)

近距離の少数のプロセサコア間の接続はコモンバスでもバンド幅が確保でき、コモンバスではブロードキャストが容易にできるので、キャッシュコヒーレンシの制御も簡単である。しかし、コモンバスは多数のプロセサコアの接続には適さないので、コモンバスで接続したコアクラスタを2次元メッシュで結ぶという案である。

コアクラスタを4コアとすれば、コアクラスタ数はコア数の1/4となり、メッシュのネットワーク直径はクラスタ無しの接続に比べてほぼ半分に減少する。近距離のコモンバスは遅延時間も小さいので、通信遅延時間的にも有利であるという。

Borkar氏の提案では、メッシュのリンク本数は半減するのであるが、2分バンド幅を同じとすると各リンクは2倍のバンド幅が必要となり、縦横方向のメッシュリンクの合計の信号線本数は変わらない。つまり、メッシュの消費電力もあまり変わらず、この案は、提起したメッシュの消費電力の増加問題の解にはなっていないと思われる。