青色申告は、「経費以外にも最高65万円の控除ができる」「家族への給料が必要経費にできる」「赤字が出たら次年度以降に繰り越せる」「30万円未満の固定資産を一括償却可能」というメリットがあるが、筆者は数字嫌いも手伝ってこれまで申請しないできた。しかし、今年こそはと一念発起。事前に申請を済ませ、青色申告にチャンレジすることにした。

毎日の入力も「らくらく仕訳入力」でかんたん

第1回では、家電量販店で青色申告ソフト「みんなの青色申告13」(以降、みん青)を購入するところまで、第2回では、持ち帰った「みん青」をPCにインストールして初期設定するところまでお伝えした。前回までの記事で、青色申告へ向けた帳簿作りの基礎は出来上がっている。これから、日常の入力(記帳)を行っていくわけだが、「みん青」には初心者向けに「らくらく仕訳入力」という機能が備わっている。

「らくらく仕訳入力」は、みん青のダイレクトメニューから「帳簿」タブを開き、メニューから「らくらく仕訳入力」を選択する

経理において多くの人がつまずく最大のポイントは「仕訳が面倒 or わからない」というものだ。簿記が苦手な人にとってこれほど面倒な作業はなく、ちょっと間違えただけで、経理全体の数字も変わってしまうことだってある。

「らくらく仕訳入力」では最初に日付を指定し、「現金・預金の収入」「現金・預金の支払い」「売上取引」「仕入取引」などの取引の種類の大枠を選び、実際の取引を選択、それに掛かった金額を入力するといった手順で誘導してくれる。

これが「らくらく仕訳入力」のメイン画面。日々の入力は①~④の順番通りに行えば自動的に処理される仕組みだ

複雑に見える仕訳もこの機能を利用すると実にかんたんで、収入なのか支出なのか、それがどんな取引だったのかを指定するだけで済む。経理の知識がなくても、感覚的に理解できる。

操作は金額まで入力したあとは「次へ」へ進み、借方と貸方のそれぞれの科目をメニューバーから選ぶだけとシンプルだ。

例えば売上が発生したら、日付と収入(現金・預金の収入)、売上科目を選択し、金額を入力するといった流れになる。そこまで入力したら「次へ」をクリックする

「仕訳の確認」が表示されるので、借方と貸方について直したい部分があったらリストボタンや直接入力で修正する。正しいことが確認できたら「登録」ボタンを押せば記帳は完了だ

とにかく、経理を負担なくこなすには、毎日の記帳が大切。数カ月に一度まとめて…なんて考えていると、余計に手間が掛かるように感じてしまうのだ。収入は当然のこと、車で移動したらガソリン代や高速代、チラシを作ったら広告制作費にハガキ代と、こまめに「みん青」へ入力しておくことが、経理を楽にする最大の近道なのだ。

仕訳をきちんと入力すれば、そこから先は会計ソフトが自動で集計してくれる部分が多い。「みん青」では、伝票をおこすのを忘れていた場合にでも手書きの帳簿と違い、自分で元帳や合計残高試算表などに再度転記や集計する必要がなく、計算が必要な箇所は自動計算してくれるため書き損じの心配もない。また、仕訳の間違い、計算ミスなどもソフトが再計算してくれるのだ。

わからない仕訳は「実務解説本」や「仕訳博士」で!

個人事業主が経理を行う上で、もっとも多い悩みの種は、支出があった場合それが自分の事業に関連している費用なのか、それともプライベート出費なのかなかなか判断できない点。経費に関して公私の切り分けが理解できないと、「あれ?これは記帳してもいいのかな?」と悩んだり、「この前入力した現金、実はプライベート用だったのでは…」などとなりがちだ。

実務のことで悩んだときは解説本「かんたん青色申告」が役立つ。みん青のヘルプ関連機能と合わせて使いこなすと、面倒な経費の知識もかんたんに身につけることが可能だ

そんなときは解説本「かんたん青色申告」を見てみよう。解説本には、帳簿のつけ方から「経費」の概念、「旅費交通費」「食事代」など、経費に関する情報やアドバイスが細かく記載されている。例えば、食事代にしても事業主が外出した際にレストランで食べた食事代は経費にはならず、従業員や取引先、会議などで、使われた食事代は経費になるといった基本的な説明がわかりやすく解説されている。こうした知識をもとに、記帳していけば、帳簿も正しく作成されるというわけだ。

解説本にも載っていないような仕訳で悩んだ時には「仕訳博士」を参照しよう。画面上部のツールバーにある博士ボタンから起動できる。会計事務所が母体ということで実務面でのサポートも万全だ

ただし、忙しい毎日の中、記帳を続けていると馴染めない言葉も見えてくる。先ほど挙げたプライベートな食事代を記帳した場合、それは「事業主貸」で処理をする必要があるといった具合だ。これも個人事業主にとっては馴染みが薄い言葉だと思うが、これは「事業主勘定」と呼ばれるものになる。そんな馴染みがない言葉も、解説本「かんたん青色申告」にも事業主勘定について解説されている。そのほか、難しい仕訳に直面した場合には「仕訳博士」で適切な仕訳を調べることができる。

「青色申告やることナビ」で青色申告決算書の作成もかんたん!

「みん青」の機能と解説本をフル活用すれば、経理の知識がそれほど高くなくても正確な記帳が行えることがおわかり頂けたかと思う。1年間は長いが、マメな記帳とわからないことがあればすぐに調べるといったクセをつけておけば、大きな問題はないはずだ。

そして、1年間(年度)が終わりに近づけば、最後は青色申告に必要な「青色申告決算書」を作成することになる。ここでサポートしてくれるのが、「青色申告やることナビ」だ。しっかり記帳をしていれば、使い方を詳しく図解している青色申告やることナビを参照して操作することで、決算書がかんたんに作成することができる。

ダイレクトメニューにある「青色申告やることナビ」を選択する

青色申告に必要な決算書の作成方法などを図解で解説してくれる

決算整理仕訳のやり方から、青色申告決算書の印刷方法、確定申告書の作成まで書かれている。もちろん、余力があれば「e-Tax」を使った電子申告もみん青から実行することができる。e-Taxを利用すれば、最高4,000円(平成23年度申告の場合)の税額控除が受けられ、何よりも大混雑の税務署に並ばなくて済むのは大きなメリットだ。対応ソフト「みんなの電子申告(平成23年度 e-Tax連携オプション)」は確定申告シーズンになると無償でソリマチのホームページからダウンロードできるので、ぜひチャレンジしていただきたい。

青色申告決算書もスムーズに作成できる

白紙の青色申告決算書。OCR用紙への印刷も可能なので「青色申告やることナビ」で印刷手順をよく確認しておこう

「みんなの青色申告13」は、青色申告への道のりにため息をついていた事業主にオススメしたい機能が山盛りだ。会計ソフトの導入を考えている人はもちろん、これから青色申告を考えている人には特に、導入メリットの多いキャンペーン期間中(~12/31まで)に購入することをオススメする。

<注意> 平成23年度分から青色申告したい方は、事前(平成23年3月15日まで)に「青色申告承認申請書」の提出が必要です。

(完)