インターネットが使えない時のための地図

災害があると、インターネットで情報を集めたり、連絡を取ったりしようという人が増える。一方で、通信機器の故障等で障害が出ることもある。いつでも自由にインターネット接続ができるわけではない、ということはいろいろな機会に感じたことがあるだろう。

特に、インターネットに接続しづらい状況にありながら、是が非でも接続したい状況として、外出先で立ち往生した時が挙げられる。自宅やオフィスを目指して移動するのにGoogleマップを使うこともできるず、どこに交番や避難所があるのかもわからずに動くのは不安だし、そもそも危険だ。

そういう時のためのアイテムはいろいろと用意されているが、そのうちの1つが昭文社がMAPPLEシリーズとして出している「震災時帰宅支援マップ 首都圏版」だ。東京都選定の帰宅支援対象道路や、隣接する県の緊急輸送路を中心に、12の帰宅支援ルートを独自に選定。実際に全ルートを踏破して作られた地図だ。紙版はコンパクトに折りたたまれており、軽く、携行しやすい。これをそのままスマートフォン向けアプリとしたのが「震災時帰宅支援マップ 首都圏版 2013-14年版」だ。

「震災時帰宅支援マップ 首都圏版 2013-14年版」

ダウンロードした地図とGPSで帰宅を支援

起動すると最初に、地図のダウンロードを行う。年次データが更新されれば、再度ダウンロードが必要だ。地図を丸ごと取得するからそれなりの時間もかかるため、いざという時になる前に、時折起動して地図をチェックしておくとよいだろう。

ダウンロード完了後は、地図上に現在地が示される。下の「メニュー」というタブを引き上げると「目的地」、「周辺検索」、「ホーム」というボタンが表示される。

紙の地図によくある見た目の地図上に現在地が表示される

「目的地」では住所や駅名等で目的地を設定することが可能だ。20件まで登録することができるから、自宅やオフィス、電車が動き出した時に移動しやすい駅などをいくつか登録しておくとよいだろう。また、アプリに用意されているルートを指定することもできる。おおざっぱに自分の向かいたい方向のルートを選択し、目的地近くで土地鑑のある場所へ出たら地図を見ながら移動するというのがよさそうだ。

「周辺施設検索」ではフリーワードで検索するのではなく、避難所や交番、トイレといった災害時に役立つスポットがあらかじめ登録されている。ジャンルを選択して、近くのものを目的地として登録する形で利用可能だ。

20件までの目的地を住所等から指定して登録しておける

都心部から周辺部へ向かうルートを選択して利用することも可能だ

「周辺施設検索」では災害時に役立つスポットがすぐに見つけられる

目的地が設定されると、現在地から目的地への方向が地図上に示される。これを頼りに歩いて行くイメージだ。地図は端末内にあるが、現在地取得のためにGPSを利用しているため、GPSをオフにすることはできない。

地図上に目的地の方向が表示される

利用感は紙の地図

スマートフォンでGoogleマップ等を利用していると、どこまでも拡大でき、詳細な部分まで見られるのが当たり前という感覚だが、このアプリはあくまでも紙コンテンツをデジタル化したものだ。地図は最大に拡大してもそれほど細かな表示をしてくれるわけではなく、路地や個々の店までを見つけられるようなものではない。

基本的にルート設定が放射状であることからもわかるように、都心部で働いていたり、都心部の学校へ通っている人が周辺部の自宅へ帰るというようなシチュエーションを想定している。埼玉と千葉、神奈川と茨城、という感じで繋ぐルートは用意されていない。

実際に地図として表示できるのは、埼玉なら鴻巣市、茨城はつくば市、千葉は四街道市、神奈川は秦野市あたりまでで、首都圏というよりは東京近郊といった方がイメージしやすい範囲になるだろう。震災時になんとか都心部から歩いて帰ることを考えられる範囲のサポートとしては十分といったところで、利用感はスマートフォンの中に紙の地図が入ったという感覚だ。

最大に拡大した表示

西方面は八王子や伊勢佐木、秦野あたりまでの地図になっている

東方面は佐倉や四街道、龍ケ崎あたりが範囲に含まれる

auスマートパスやキャンペーン価格を狙おう

auスマートパスに加入していれば、このアプリはすぐに利用することができる。また、本来の価格は税別800円なのだが、割と頻繁にセールも行っている。購入してしまえばアップデートは無料で行えるから、興味がある人は必要になるのを待たずに、手頃な価格で入手できそうな時を狙うとよいだろう。

地図以外にも震災時の心得や、日頃から備えておくべきこと、予備知識などをまとめたコンテンツも収録されている。NTT災害用伝言ダイヤルの使い方なども紹介されているから、地図以外にも災害時にこまったら起動してみるとよさそうだ。

「はじめにお読みください」の中にさまざまな情報がまとめられている

職場や自宅で行うべき日頃の備えも紹介

災害時に役立つが普段使うことのない伝言ダイヤルの使い方も確認できる

「震災時帰宅支援マップ 首都圏版」
利用料金:800円
制作者:MAPPLE ON Co., Ltd.