「いざという時」は突然やってくる

自分が怪我をしたり、家族や同僚が怪我をするというのは予測できない。風邪のように軽めの症状から徐々に進行する病気もあるが、突然苦しみ出すような病気もたくさんある。通勤中に電車の中や駅で突然倒れた人やしゃがみ込んでいる人を見たこともあるだろう。車や自転車で移動しているなら、交通事故も身近なものとなる。

突然自分や周囲で、何か手当てをしなければならない状況が発生した時、冷静に対応できる人がどれだけいるだろうか。火傷をしたら冷やす、くらいの知識は誰でも持っているだろうが、水がかかった場合と油がかかった場合の対応が同じでよいのかどうか、衣服を着た状態で火傷した時に脱がすべきかどうか、軽い火傷の後で水ぶくれが出来た時にどうするべきか、正しい答えをすらすらど出せる人ばかりではないだろう。

いざという時、すぐに参考にできるものをぜひ手元に持っておきたいところだ。そこでオススメしたいのが「救命・応急手当の基礎知識forポケットメディカ」だ。

「救命・応急手当の基礎知識forポケットメディカ」

このアプリは「家庭医学大全科」から一部抜粋して作られた、応急処置情報にだけ特化したアプリだ。症状や事故の種類別にとるべき処置方法や、見るべきポイントをまとめたものとなっている。基本的には簡単な挿絵が少し入る程度のテキスト情報で、動画等を使ったわかりやすさ重視のものではないのだが、さっと読めば基本がわかるようになっている。

起動画面ではシリーズアプリの紹介が行われており、上の大きなボタンをタップしてコンテンツに移動することになる。救命・応急処置のコンテンツに移動すると、わかりやすいアイコンがついた4つの大メニューが配置されている。

4つのメニューのうち上2つは病気と事故の状況から対応を見るためのメニューだ

「症状別応急手当」は、頭が痛い、息苦しいといったような主に病気的な症状に対しての情報がまとめられている。タップした後で、中身を見たい症状を選べばよい。「頭がとても痛い」を選んだ後に、どう痛いのか、どのくらい痛いのか、といった細かいことを選んで行くチャート式ではなく、頭痛に関する情報が1つにまとまっているのが特徴だ。とりあえず何をするべきなのか、どこを気をつけて観察するべきなのかといったことがまとめてわかる。

「症状別応急手当」では現在の症状を選択

何に気をつけてどうするべきなのかがテキストで解説されている

「けが・事故の応急手当」では、事故の種類を選択。「症状別応急手当」と同じく基本的にはテキストでその種の事故に対する対応がまとめられている。病気も事故も、特徴的な動きや対応方法などの解説には挿絵が添えられている。

「けが・事故の応急手当」では事故の種類を選択

項目によっては挿絵つきのこともある。挿絵をタップすると拡大表示される

心肺蘇生については特に詳しく解説

大メニューの下2つは「心肺蘇生法」と「止血法」だ。どちらも、必要なシーンに遭遇した時は命にかかわる状態であることが多いものだけに、ぜひ普段から読んでおきたい。

「止血法」については1コンテンツで簡単にまとめられている。出血性ショック状態のチェック方法とともに、一般市民の行う応急処置として推奨されている直接圧迫止血法について解説されている。本文中の色のついた文字をタップすると、それぞれの参照場所へと移動できる。

「止血法」では出血性ショックの解説と直接圧迫止血法について紹介

一方「心肺蘇生法」の方はサブメニューもある充実ぶりだ。AEDを使うことを前提とし、AEDが来るまでにできることを順を追って解説している。AEDは実際に使い始める時には音声ガイドなどもあり、知識がなくとも使えるようにはなっているのだが、やはり何も知らない状態では腰が引けてしまうだろう。こういうものを読んでおけば、いざという時にも役立つ。

「心肺蘇生法」はAEDが到着するまでの処置を細かく解説

AEDの使い方も図解されている

「心肺蘇生法」とあわせて読んでおきたいのは、メインメニュー画面の下にある「人工呼吸について」という項目だ。心肺蘇生における人工呼吸の位置づけや必要性について別途紹介されている。心肺蘇生や人工呼吸については情報が数年ごとに更新されているため、若い頃に自動車免許取得する時に覚えた、という程度の人は大分情報が入れ替わっているはずだ。特に人工呼吸の必要性については大きく変わっており、人工呼吸をするのが嫌だから応急手当にかかわりたくない、と思ってしまう人にはぜひ読んでおいて欲しい項目だ。

人工呼吸の必要性や注意点について別項目でも解説

救急車の呼び方に自信はある?

もう1つ、下部メニューにある「救急車の呼び方」もぜひ読んでおきたい。救急車を呼ぶなら119番、というのは子供でも知っているが、本当に動転するとそれすら頭に出てこなくなってしまうという。

この項目では具体的な受け答えについて順に説明されているため、事前に読んでおいてもためになるが、実際に呼ぶ時に身ながら作業をするにもよいだろう。「住所がわかりますか? 目印はありますか?」と聞かれてから慌てて周囲を見渡すよりも、この後目印を聞かれるのだ、と思いながら話す方が落ち着けるはずだ。

救急車の呼び方も手順を追って解説されている

「救命・応急手当の基礎知識forポケットメディカ」
利用料金:無料
制作者:株式会社C2