汚水処理施設やマンションなど、施設の管理業務を手掛けるヒロエーは、現場の保守点検を行うスタッフの端末を、フィーチャーフォンからAndroid「AQUOS PHONE Xx mini 303SH」に切り替えることで業務効率の向上を実現した。以前口頭で行っていた本社への業務報告は、Androidで撮影した現場の写真をメール送信することで、現場の複雑な状況を正確に伝達できるようになった。
報告業務の課題を高画質のカメラ機能・大画面液晶で克服
現場の保守点検・報告は、施設維持管理の業務の中で、もっとも重要かつ煩雑な業務だ。汚染水施設やマンションなどの水回り、電気などの細かい部分を点検しなければならず、状況を正確に把握し、問題があれば修理が必須となるからだ。ヒロエーが現場のスタッフに貸与していたフィーチャーフォンをAndroidに切り替えた理由の大きなポイントが、この現場の保守点検・報告業務にあった。
具体的には、以下の動画のような点だ。
そうした状況を導入責任者で施設管理部部長の畑和秀氏は語る。
「我々の保守点検・報告は、作業が細部に及ぶため、手間も時間もかかります。しかも現場のスタッフの技術レベルは同一ではないため、個人差が出てしまいます。現場の写真をきれいに撮って手軽にメールで送ることができればよいのですが、以前利用していたフィーチャーフォンでは画像が粗く、メール添付の操作もしにくいという現場からの声がありました。そこで、写真がきれいに撮れて、メール連携がしやすいスマートフォンへの移行を検討しました。1カ月ほどデモ機を使ってみたところ、これはいいぞ、と。一方でiPhoneにしようか、という意見もあったのですが、メールやネット閲覧くらいのシンプルな用途であればAndroidのほうが料金を抑えられることが分かったので、Androidの導入を決めました」(畑氏)
フィーチャーフォンとスマートフォンでは、操作方法が大きく異なる。導入後、現場の戸惑いや問い合わせなどはなかったのだろうか?
「特に問題はなかったですね。以前のフィーチャーフォンは段階的に導入したため、機種がバラバラだったのですが、Androidの同一機種に統一できたことで、利用者同士がお互いに使い方を共有できたようです。導入理由のひとつだった現場報告は、Androidで写真を撮ってメールをするという業務フローが出来上がり、誰がどこに行っても業務の手間や時間が平準化されました。現場の状況を正確に把握し、保存する、という流れができたことで業務のレベルがひとつ上がったと感じています。また、現場の端末故障がなくなったことも特筆すべきポイントと言えます。これまでは胸ポケットに入れていた端末が雨や汗で濡れて故障する、というようなケースが必ず1年に数件あったのですが、防水・防塵機能を備えたAndroid導入後、それがまったくなくなりました」(畑氏)
導入効果はそれだけではない。社員が自分たちでスマートフォンならではの機能を業務に活用するようになった、と畑氏は意外な効果について語る。
「フィーチャーフォンでは通話しか利用していなかったので、当然、端末の付加機能などは使いこなせていなかったのですが、Androidへ移行したことで、たとえば初めて現場に行くスタッフは、これまではPCで場所を調べて地図をプリントアウトしていましたが、いまでは地図アプリを活用して住所を音声認識させることで現場を確認するようになりました。中には現場の暗い場所の配線などを点検時にカメラのフラッシュ機能を利用している社員もいます。端末を使いこなせばもっと業務がスムーズになるのではないか、という意識が社員に自発的に芽生えたこともうれしいですね。ICT化は社員の精神的な部分にも効果があるということを知りました」(畑氏)
入札状況を逐一確認可能に
ヒロエーの社員は、外回りが多く、外出時間が長い。Android導入による効果はこうしたワークスタイルの中で、もうひとつ大きなメリットがあったと、畑氏は続ける。
「弊社のほとんどの社員は外出が多いのですが、そんな業務の中でも常に気にしておかなければならないのが、入札状況です。入札は会社の売上に直結する部分ですが、もちろんすべての入札案件が獲得できるわけではありません。たとえば20案件のうち5、6案件を獲得するため、入札の規模やスケジュールなど要件を見ながら、確度の高い案件をピックアップして、いち早く下調べをして見積もりを試算、提出するのです。それだけに、入札案件を漏れなくチェックすることは最低限必要です。以前は外出先から戻って社内のPCで入札状況をチェックしていましたが、いまでは外出先からでも移動時間などの手すきの時間に入札状況をチェックできるようになりました。これは非常に大きなメリットだと感じています。会社に戻らず直帰することも可能になりましたし、家でも入札状況を逐一チェックできるので非常に便利です」
Androidで社内コミュニケーションのICT化を目指す
Androidの導入により、業務フローの改善や社員の意識変革を享受した同社だが、今後はさらなる社内コミュニケーションのICT化を進めていくという。
「Android導入で社員の意識が変わり、社員同士がさまざまな活用方法を教え合うというシーンが多くなっています。そこで、こうした社員同士のコミュニケーションを、セキュリティを担保したLINEのようなアプリケーションを活用できないか、と模索しているところです。会社からの一斉メール配信や社員同士のコミュニケーションを統合し、さらなる業務効率化を進めたいと考えているところです」(畑氏)
法人市場のスマートフォン出荷台数は、2014年185万台と前年から41%も増加したという。法人市場のおけるスマートフォン普及率は、ヒロエーのような中小規模の会社がスマートフォンに移行していくことで、加速度的に高まっていきそうだ。