アムステルダム在住のインタラクションデザイナーKamil Gottwaldさんのポートフォリオサイトは、常に全体を見渡しつつコンテンツをみることが出来るのが特徴です。上下可変レイアウトになっており、ニュース、ポートフォリオ、写真ギャラリー、お問い合わせの4セクションが常に均等に見られるようになっています。
見たいセクションを広く見たい場合はページ上のタイトルの左側にある矢印マークをドラッグすることで自由に横幅を変化させることが出来ます。ひとつのセクションの横幅を変えても、ダイナミックに他のセクションの横幅も調整されるので、常に全体像を逃すことはありません。マニュアルで変化させるのが面倒な場合は左側にある丸いアイコンをクリックすることで最適な横幅に自動的に変化します。
たくさんの情報を一度に見れますが、通常どのセクションも半透過になっています。自分が興味のあるセクションをマウスオーバーをすると透明の状態からはっきりした状態に変化します。こうした興味のあるコンテンツのみフォーカスをする見せ方やインタラクションは、サイト全体の見せ方で一環しています。例えば掲載されているコンテンツをクリックするとサイト全体が暗くなり、コンテンツの詳細のみがフォーカスした構成に変化します。
ホーム画面が最初に表示された状態。どれも半透明になっているので少し見難いですが、興味のあるセクションをマウスオーバーするとはっきり見れるようになります。ページ下にある丸いアイコンが、そのセクションのスクロールバーになります |
多くの情報をバランス良く掲載していますが、改善点も幾つか見られます。例えばテキストが一切選択が出来ないのは情報を抜き出して検索をしたい場合に不便です。PDFでレジメをダウンロード出来るようになっていますが、Webサイト上で観覧出来たり、問い合わせの住所のようなテキストがコピー出来ると便利です。また、それぞれの作品や写真に固定リンクがないので、特定の作品について取り上げるにも数回のクリックが要します。サイト内のインタラクションだけでなく、コンテンツを外で持ち出すためのインタラクションも増えるとより使いやすくなるでしょう。
画像がたくさん表示さるサイトですが、Flashのローディングは早くあまり待たされずに観覧出来る点。そして、余計なアニメーションは削がれているので、見たいコンテンツがすぐに見れる点をみてもサイトは作品ではなく、コンテンツを見るためのツールであるというデザイナーの姿勢を感じることが出来ます。
Flashは制作者のもつ世界観をゼロから作り上げることが出来る反面、従来のWebサイトの使い勝手と違う操作感のため「使い難い」という印象を与えがちです。分かりやすいガイドを提供したりUIデザインに工夫を加えるのはもちろんですが、幾つかの使い方を許すのもひとつの方法です。
例えばKamil Gottwald氏のサイトにはドラッグして横幅を変化させるようなユーティリティがありますが、その機能を使わなくても左側のメニューから同等のことが出来るように工夫されています。また、ページの下には従来のものとは見た目がまったく違うスクロールバーがありますが、これを使わなくてもマウスホイールや矢印キーでスクロールすることが出来ます。ひとつのアクションをする方法に対して2つ以上のオプションを築くことで、利用者は特定の使い方を強制されることなく快適にサイトを操作することが可能になります。
ポートフォリオのコンテンツをクリックすると詳細がフォーカスされます。写真は複数あり、写真下にあるアイコンをクリックするか、写真をクリックすることで移動出来ます。次のコンテンツを見たい場合は×印をクリック又は Esc キーでホームに戻って見ることが出来ますが、左側にある+-アイコンをクリック又は上下矢印キー、マウスホイールでホームに戻らず次々と移動することも出来ます |
写真ギャラリーは若干違うナビゲーションが用意されています。写真右側にあるサムネイルで他の写真をみるか、表示されている写真をクリックして移動が出来ます。写真の左側をマウスオーバーすると戻るアイコンが、右側をマウスオーバーすると進むアイコンが表れます |
Kamil Gottwald氏のサイトは独特な見た目ではありますが、操作感は他のサイトにもある馴染み深さがあります。Flashサイトでは特に必要とされるバランス感覚といえるでしょう。