前回は「死活監視」と、監視に利用されるソフトウェアや機器を解説しました。今回は、前回も触れた「Ping監視」と「ポート監視」を深掘りしつつ、死活監視以外のネットワーク監視についても紹介します。
IPアドレスの存在を確かめる「Ping監視」
Ping監視はIPアドレス(Internet Protocol address)が存在しているかをPingで確認する監視方法です。IPアドレスはスマートフォンやパソコン、ルータ、Webサイトなどに割り当てられる“住所”のようなもので、「192.168.0.0」のように0から255までの数字の組み合わせで表記されます。
PingはIPアドレス間のパケット通信において、パケットの送信から受信までにかかるタイムラグの値で、Ping監視ではそれぞれのIPアドレスと通信を行い、“住所”の存在を確かめます。
パソコンAからPing監視を用いて、パソコンBが存在しているか確認するケースを考えてみます。まず、パソコンAからパソコンBのIPアドレス「192.168.0.5」に通信をします。その際、パソコンBから応答があった場合、パソコンBは存在していることになります。もし応答がなければ、パソコンBに何かしらの不具合があると判断します。
機器内のソフトウェアの状況を確認する「ポート監視」
IPアドレスはデータの送信元や宛先を記述することが可能ですが、通信の内容やプログラムの扱い方といった詳細を伝えることまではできません。一方、通信の手順や対象プログラムを識別するのがポート番号で、ポート監視ではポート番号を利用します。
ポート番号は0から65535まであり、それぞれ役割が決まっています。例えばポート番号21は「FTPデータ転送」で、これはサーバとクライアントの間でファイル転送を行う際に必要な通信プロトコルです。ポート番号110は「Post Office Protocol v3」で、これは電子メールで使われます。
それでは、先ほどのパソコンA、Bの例でポート監視を考えてみましょう。パソコンBのIPアドレスは「192.168.0.5」ですが、パソコンの中にはFTPサーバやウェブサーバ、メールサーバといった複数のソフトウェアが入っています。パソコンBの各ソフトウェアのポート番号は、FTPサーバが「21」、ウェブサーバが「80」、メールサーバが「110」です。
「192.168.0.5:110」は、パソコンBのメールサーバを表しています。例えば、パソコンBは起動しているけれど、パソコンB内にあるメール機能がフリーズしてしまったと仮定します。これをパソコンAで確認します。
「192.168.0.5」でPing監視をしても、パソコン自体は起動しているので、応答があります。しかし「192.168.0.5:110」でポート監視すると、応答がありません。この時点で、パソコンBのメール機能に不具合があると判断します。
死活監視自動ツールは、ポート監視に対応しているかチェック
ネットワーク機器などの存在を確認するPing監視と、機器の中にあるソフトウェアの状況を確認するポート監視。Ping監視は先述の通り“住所”、ポート監視はその住所にある“部屋の番号”と表現されることもあります。
「記載された住所の存在を確認するのがPing監視。住所にある家の部屋番号を確認してノックをし、住人の存在を確認するのがポート監視」と捉えると覚えやすいかもしれません。死活監視はこれらのどちらか、または双方をチェックします。
また、Excelなどポート番号を持たないソフトウェアもありますが、そうしたソフトウェアの稼働状況はPing監視で行わなければなりません。
死活監視においては、Pingとポートを使い分けて監視する必要があり、人手を介さずにチェックが可能な死活監視の自動ツールも提供されています。しかし、死活監視自動ツールでもポート監視に未対応で、機器で作動するプログラムまで確認することができないものも多いです。
死活監視自動ツールを利用する際は、「Ping監視とポート監視どちらにも対応しているか」や「ポート監視に対応している場合、ポート番号がいくつまで設定できるか」といったことまでチェックすると良いでしょう。
「遅延」「経路」「状態」など、さまざまなネットワーク監視
ネットワーク監視の1つである死活監視。それでは、ネットワーク監視には他にどのようなものがあるのでしょう?
代表的なものが、サーバやネットワークの通信の反応速度を監視する「遅延監視」です。情報量が多くなればそれだけ処理に時間がかかり、反応が遅れてしまいます。例えば、PR動画などをアップロードしているサイトはアクセスの遅延が発生しやすくなるでしょう。スムーズにPR動画がスタートしない企業サイトは、訪れたユーザーに悪い印象を与えてしまうかもしれません。ストレスフリーなサイト運営をするために、ユーザーのアクセスに対するレスポンス時間をグラフ化させるといった遅延監視をするべきでしょう。
また、機器間の通信においてはトラフィック(データ量)の混雑により遅延が発生することがあります。ネットワーク自体は正常に稼働していてもトラフィックに異常があれば通信は遅くなり、機器に異常が発生しているような振る舞いを起こします。例えば、サイネージの映像が停止したり、サーバに繋がらなかったりなどです。そのため、サーバその他ネットワーク機器周辺のトラフィックの混雑状況を常にチェックする「経路監視」という監視手法も重要になってきます。
遅延監視や経路監視は、ネットワークが通常よりも遅くなっている原因を追及する際に利用します。
このほか、ネットワークに接続されている機器のリソースをチェックする「状態監視」があります。別名「性能監視」とも呼ばれ、機器で使用しているCPU、メモリー、ディスク使用率などを監視し、機器のパフォーマンスの低下を検知します。
ネットワーク監視には、このようにさまざまな種類があり、機器の使用方法と現状の課題に合わせて監視方法を検討することが大事です。