連載2回目となる今回は、AIRアプリケーションの開発を始めるにあたって必要な開発環境について説明しておきたい。

Flex Builder 3 β版を使用した開発

AIRアプリケーションの開発を行うなら、このFlex Builder 3が必須と言ってもよいだろう。同プロダクトは、Eclipseをベースとした、Flex開発用の統合開発環境だ。AIRのβ版リリースと時を同じくしてバージョンアップされたばかりであり、以前は別途導入が必要とされていたAIR開発環境が、デフォルトで同梱されるようになった。

Flex Builder 3 β版のスクリーンショット

ユーザインタフェースをWYSIWYGライクに開発できるヴィジュアルエディタ、ソースコードエディタと完全に統合されたデバッガ、MXMLやActionScriptコードに対するコード補完機能、AIRファイルのエクスポート機能など、充実した機能が満載で、開発生産性が大幅に向上することは間違いない。F11キーでデバッグ実行、Ctrl+Shift+Bでブレークポイント設定など、Eclipseの操作感をそのまま引き継いでいるので、Eclipseを使い慣れた方ならすんなり馴染めるはずだ。

Adobe Labs内のこちらのページから、30日間無償トライアル版を入手できる。インストーラを実行するだけでインストールは完了するので、ぜひお試しいただきたい。

Adobe AIR Extension for Dreamweaver Beta 1

Webサイトの作成を手軽に行えることで評価の高いDreamweaverについても、AIR用の拡張機能が提供されている。この拡張機能を導入することで、WebサイトからAIRアプリケーションへのパッケージング(「Siteメニュー→Package as Adobe AIR Application」)、AIRアプリケーションとしてのHTMLページプレビュー、JavaScriptコード編集時におけるAIR APIの補完機能などを利用できるようになる。

Dreamweaver CS3を使ってAIRへのパッケージングを行う。入力する情報はアプリケーションディスクリプタ(後述)のエントリだ

Dreamweaver CS3によるAIRアプリケーションプレビュー。ドキュメントツールバーのプレビューボタンから行える

現在のところ、Dreamweaver CS3の英語版でしか動作しない。試したい方は、米Adobe Systemsのトライアル版ダウンロード用ページから、Dreamweaver CS3本体をダウンロードしてインストールした後、拡張機能をこちらからダウンロードして実行してみてほしい。

Aptana IDE

Aptana IDEは、Web開発に特化したEclipseベースのIDEだ。JavaScriptデバッガやHTML/JavaScriptコード補完機能などを備え、フリーで利用できることが信じられないほどの完成度を誇る。Aptanaについてはこちらの記事が詳しい。

Aptana IDEのAIR対応機能は、AIRランタイムのインストールが前提なのはもちろんのこと、別途AIR SDKを入手しておく必要があるため、Adobe Labsのこちらのサイトから入手し、アーカイブを展開しておいてほしい。その後、Aptana IDEをこちらのページから入手し、インストールした後、Aptanaのスタートページからリンクをクリックして(下図参照)拡張機能を入手する。

スタートページ(「ヘルプ→Aptana Start Page」で表示可能)内のリンクをクリックして拡張機能を入手

現在もまだ開発中の拡張機能であるが、すでにAIRプロジェクトの作成、AIR JavaScript APIに対応したコード補完機能、AIRアプリケーションとしての実行、AIRファイルへのパッケージングなどの機能を備えており、十分実用に耐えうるものだ。AIRアプリケーションのデバッグがまだサポートされていないのが残念ではあるが、今後そうした機能が備わるのは間違いない。これほどのツールが無償で入手できるとは、よい世の中になったものである。

以上、今回は、AIRプログラミングに適した開発環境について解説した。開発の際には、これらの中から適当なものを採用するとよいだろう。

なお、Adobeでは、コマンドベースで開発を進めることができるAIR SDKも用意している。次回はそのAIR SDKの使用方法と簡単なサンプルアプリケーションの実装/実行方法について説明しよう。