今回のお題は、ゼネラル・アトミックス・エアロノーティカル・システムズ(GA-ASI)が2021年暮れに発表した、モハーベ無人機。機体の登場からは3年ぐらい経過しているが、最近になって同機を空母や揚陸艦の艦上で発着させる実験が行われているので、改めて「時事ネタ」として取り上げてみることにした。→連載「航空機の技術とメカニズムの裏側」のこれまでの回はこちらを参照。
モハーベとはどんな機体?
GA-ASIは米陸軍向けに、MQ-1Cグレイ・イーグルという無人機を製造している。名称でお分かりの通り、ベースとなった機体はMQ-1プレデターだ。ただし、搭載する機器に相違があったり、兵装搭載能力が増強されたり、といった違いがある。
そのMQ-1Cを基に、新しい主翼を組み合わせたのがモハーベ。面積を大型化するとともに前縁スラットを追加して、離着陸性能の向上を図っている。面積を拡大することで翼面荷重の縮小を、前縁スラットの追加で揚力の増加を企図したものであろう。
それにより、離着陸滑走距離を短縮している。また、降着装置を強化して、不整地離着陸を可能とした。離陸滑走距離の具体的な数字を出すと、兵装を積まないISR(Intelligence, Surveillance, and Reconnaissance)ミッションなら400ft(122m)、ヘルファイアを12発搭載した状態でも1,000ft(304.8m)。