連載「軍事とIT」の第511回と第512回の2回に分けて取り上げた話だが、6月にイタリア海軍の哨戒艦「フランチェスコ・モロスィーニ」が、海上自衛隊の横須賀基地に寄港した。たまたま、同艦が報道公開されたときには、後部のヘリ発着甲板で搭載機の点検が行われていた。→連載「航空機の技術とメカニズムの裏側」のこれまでの回はこちらを参照。
ヘリコプターの難しいところ
旅客機であれば、その多くはエンジンを左右の翼下にぶら下げているので、地上からアクセスしやすい。もちろんカウリングで覆われているが、それは上ヒンジでガバッと開く構造になっている。
戦闘機の場合、エンジンは胴体内に収まっているが、交換が必要になれば後方に引き抜ける構造になっているのが一般的。だから、エンジン交換に要する時間は案外と短い。地上からのアクセス性も良い。
ところがヘリコプターの場合、エンジン、トランスミッション、ローター・ヘッドといった「飛ぶために欠かせない枢要部分」が、よりによって機体の上部に集中している。しかも、そのいずれもが、故障したり壊れたりしたら困ってしまう大事な機器。入念な点検整備は欠かせない。
では、「フランチェスコ・モロスィーニ」が搭載していたNHインダストリーズ製NH90ヘリの場合、どんな仕掛けになっていたか。