めでたく「侍ジャパン」の優勝で終わったWBC(World Baseball Classic)。筆者はちょうど試合の時間が取材の仕事と重なってしまったが、決勝戦の中継にかじりついていた方も多かったのではないだろうか。しかし中には、ちょうど決勝戦の最中に飛行機の機上、という方もいたわけだ。
地上から機上に試合の経過を連絡
ところが、飛行中の旅客機に対して、地上から試合の経過や結果を知らせた事例があって、話題になった。そこで使われたシステムが今回のお題。ACARS(Aircraft Communications Addressing and Reporting System)である。
飛行場の周辺で、離着陸する飛行機の写真を撮っている方なら、エアバンドラジオをお持ちのことが少なくないだろう。通常の管制交信は音声交話を用いており、暗号化も何もしていないから、誰でも内容を聴取できる。
それとは別に、低速ながら無線データ通信を行うシステムがある。それがACARSで、飛行中の機体と、航空会社が運用しているコンピュータの間でデータ通信を行い、情報を共有するのが本来の用途。監督当局(日本なら国土交通省)とリンクすることもあるらしいが、基本的には航空会社の中で情報交換に使っているとのこと。
では、そこにどんなデータを載せているのか。例えば、機体の重量に関する情報や、飛行計画、燃料、気象情報など。つまり、運航に際して不可欠な情報をやりとりするために用いている。