第340回でSatairという会社を取り上げたときに、同社が手掛けている積層造形(Additive Manufacturing)にも少し言及した。これは、俗にいうところの3Dプリンタみたいな機器を活用する製造手法である。

徐々に進む積層造形の活用

いつだったか「すべて3Dプリンタで作ったドローン」がニュース種になったことがあったと記憶している。こういう話はメディア受けしやすいが、積層造形を使うこと自体が目的になってはいけない。あくまで積層造形は問題解決の手段でなければならない。それに相手が飛びものなのだから、導入に際して安全性・信頼性に関する検証をきちんと行うことは大前提。

積層造形を用いて部品を製作する場合、三次元モデリングのデータと3Dプリンタ、それと素材があれば製作ができる。素材は樹脂でも金属でも良い。送り込むデータを変えれば、ひとつの機械でさまざまな種類の部品を製作できる点も、利点に挙げられる。

実際のところ、航空分野は安全性・信頼性が第一。だから、いきなり機体構造材みたいな「替えの効かない部分」の部材を積層造形で作るような乱暴な真似はしない。「小物」から始めて、経験とノウハウと実績を積み重ねながら、段階的に適用対象を拡大していくのが定石となる。なにも積層造形に限らず、新しい素材の導入でも同じだ。

戦闘機「トーネードGR.4」「JAS39グリペン」で3Dプリンタ導入

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