前回のステップ5までの作業により、マスターイメージの作成が完了した。今回は、次はマスターイメージを使用して仮想マシンを展開しよう。
[ステップ6]キャプチャしたイメージを使用して仮想マシンを展開する
マスターイメージを展開するには「リソーステンプレート」と呼ばれるJSON形式の定義体を作成する必要がある。本連載はリソーステンプレートを作成することが目的ではないので、詳細は省くことにするが、デモ動画で解説しているのでぜひこちらをご覧いただきたい。
今回はリソーステンプレートが作成されているという前提で解説を進めたい。すでに作成済みのリソーステンプレートはこちらからダウンロードが可能だ。テキスト形式のJSONファイルなので、手元のメモ帳でも開くことができる。
デモ動画で簡単理解:リソーステンプレートとは
デモ動画で簡単理解:リソーステンプレートを作成する~超基礎編
それでは、早速テンプレートを展開する手順を追っていこう。現在Azure サブスクリプションのアカウントをお持ちでない方は、例によって以下の動画で手順を確認することができる。
デモ動画で簡単理解:リソーステンプレートを使用して仮想マシンを作成する
(1)Azure Portalを開く
画面の構成は利用者によって異なるので、気にする必要はないが、以前の演習により、仮想マシンとマスターイメージが作成されていることを確認しよう。
(2)画面の左側のメニューから「新規」を選択する
(3)「すべて表示」を選択
(4)フィルターに「テンプレート」と入力して検索する
(5)「テンプレートのデプロイ」を選択し、左下の「作成」をクリックする
(6)カスタムデプロイ画面で「テンプレートの編集」をクリックすると、テンプレートのエディタが開く
(7)テンプレートの編集画面で作業する
編集画面に既定のテンプレートが表示されているので、これらを削除し、こちらからダウンロードしたテンプレート(テキストファイル)をコピー&ペーストする。貼り付けが完了したら、「保存」をクリックする。
(8)「パラメーターの編集」をクリックする
これにより、右側に仮想マシンを作成するために必要なパラメーターを指定する画面が表示される。これらのパラメーターはテンプレートファイルの Parameters 句で指定されているので興味のある方は確認してみていただきたい。
(9)各パラメーターに値を入力する。
以下、項目ごとに値を説明しよう。
OSMASTERIMAGEURI
OSMASTERIMAGEURI は作成したマスターイメージのURLだ。マスターイメージのURLは以下の手順で確認することができる。
[1]Azure ポータル画面で、左側メニューの一番下にある「参照」をクリック
[2] 一覧から「ストレージ アカウント」をクリック。「ストレージ アカウント(クラシック)」ではないので注意する
[3]マスターイメージを格納したストレージ アカウントをクリックする [4]「BLOB」を選択する
[5] 「System」を選択する
[6] [Microsoft.Compute] - [Images] を選択すると、マスターイメージを格納したフォルダ(この演習では masterimage)が表示される。これをクリックすると、配下にページBLOBタイプのファイルが保存されている。
[7] ファイルを選択して表示されるプロパティ一覧から、URL をコピーする。この値がマスターイメージのURLとなる。
■VMNAME
VMNAMEはこれから作成する仮想マシンのコンピューター名になる。今回は次に示す3台の仮想マシンを作成する。
- DS1
- FS1
- PRX1
まずは1台目となる DS1 を入力しよう。
■OSTYPE
Windows と Linux から選択することができるが、今回は当然 Windows(規定値)を選択する。OSタイプの選択はAzureが自動的にインストールする拡張機能に影響するので、間違えないように注意しよう。
■ADMINUSERNAME と ADMINUSERPASSWORD
これから作成する仮想マシンの管理者用ユーザーIDとパスワードを指定する。Administrator は使用できないので、CloudAdmin などを使用する。パスワードは8文字以上で英大文字、小文字、数字、記号いずれかの3種類が含まれている必要があるので注意しよう。
■VMSIZE
仮想マシンのサイズを意味する。マスターイメージの作成時にも解説した通り、仮想マシンを作成する際はCPUの性能や実装するメモリ量を決める必要がある。今回のテンプレートでは A1 Standard か A2 Standard を選択できるように設定してある。
仮想マシンのサイズに関する詳細はこちらを参照していただきたい。
■STORAGEACCOUNTNAME
仮想マシンの作成先となる、既存のストレージ アカウントの名前を指定する。今回は、マスターイメージ(OSMASTERIMAGEURI)と同じストレージ アカウントを使用することにする。もちろん、他に作成したストレージ アカウントがあれば、それを指定してもよい。
■EXISTINGVIRTUALNETWORKNAME
既存の仮想ネットワークを指定する。ここで指定した仮想ネットワークに仮想マシンが展開される。仮想ネットワークの名前を忘れてしまった方は、ポータル画面の左メニューから「すべてのリソース」をクリックしてみよう。この演習では、My-VNET という名前で仮想ネットワークを作成している。
■SUBNETNAME
仮想マシンの展開先となる仮想ネットワーク配下のサブネット名を指定する。この演習では、My-subnet1 という名前で作成しているはずだ。もちろん別の名前でも構わないが、すでに作成されている必要があるので注意しよう。
(10)以上で各パラメーターの入力は完了
間違いがなければ、「OK」をクリックしよう。
(11)「サブスクリプションの選択」を指定する
具体的には、仮想マシンの作成先となるサブスクリプションを指定する。ここで指定したサブスクリプションが仮想マシンやストレージの課金対象となる。
(12)「リソース グループの選択」を指定する
具体的には、リソースを作成するリソース グループを指定する。この演習では My-RG というリソース グループを使用しているが、別途新規に作成してもよい。
(13)「リソース グループの場所」を指定する
リソース グループを選択すると自動的に指定される。
(14)「法律条項」では「OK」を「作成」する
(15)以上で必要な情報はすべて設定完了
ここで「作成」をクリックすれば、以下のようなタイルが表示されて仮想マシンの作成が始まる。
タイルをクリックすると、仮想マシン作成の進捗を細かなレベルで確認することができる。エラーが発生した場合も、どこに問題があるのかが一目瞭然だ。
作成が完了すると、以下のようにDS1という仮想マシンがリソースの一覧に表示される。なお、DS1-nic や DS1-pip はDS1作成時に同時に作成されたネットワークカードとパブリックIPアドレスだ。
DS1 をクリックすると、以下に示すように仮想マシンの情報を表示することができる。
画面上にある「接続」をクリックすると、リモートデスクトップファイルがダウンロードされてくるので、「ファイルを開く」をクリックするとリモートデスクトップクライアントを使用して仮想マシンにログオンすることができる。
残る2台(FS1、PRX1)についても同様の手順を繰り返し、3台の仮想マシンを作成しよう。
編集協力:ユニゾン
安納 順一
日本マイクロソフト テクニカル エバンジェリスト
主にインフラ系テクノロジーの日本市場への訴求を担当。近年はパブリッククラウド上のアイデンティティ・プロバイダーであるAzure Active Directoryを活用したセキュリティ基盤のデザインや実装方法などがメインのフィールドである。
Technetで個人ブログもさまざまな技術情報を発信している。